プラスチック フリー スポンジを使おう。キッチンから海を守る方法
近年よく「マイクロプラスチックごみ」による、海洋汚染のニュースを見聞きするようになりました。
実は食器用スポンジも、マイクロプラスチックの主な発生源です。毎日の家事が環境に与える影響は、決して小さくなりません。
スポンジが海洋汚染につながる仕組みやプラスチック フリー スポンジのおすすめ、環境に優しい食器洗いのコツを紹介します。
キッチンスポンジが海洋汚染の原因に
古くなったキッチンスポンジはごみとして処分しているのに、なぜマイクロプラスチックの発生源になってしまうの?
そう思う人は多いですよね。キッチンスポンジと海洋汚染との関係を解説します。
ほとんどのスポンジがプラスチック製
食器洗いに使うスポンジには、下記のようにさまざまな種類がありますが、ほとんどはプラスチックからできています。
プラスチック製品と聞くと、どうしても容器やレジ袋、ラップなどをイメージしがちですが、スポンジも実はプラスチックのかたまりと覚えておきましょう。
使うたびにマイクロプラスチックを流出
キッチンスポンジは使っているうちに、ちぎれたり破れたりします。
ちぎれたカスやほつれた繊維は下水へ流れますが、細かいものは処理場で取り切れず、そのまま海に出てしまいます。
洗った食器に、スポンジから出たマイクロプラスチックが残っている可能性も否定できません。
海に流れるにしても、食器に残っているにしても、最終的には人の体内に入り込むおそれがあります。
一見エコなスポンジにも要注意
アクリルタワシやマイクロファイバースポンジのような、水だけで汚れが落ちるタイプは洗剤の使用量を減らせるため環境に優しいイメージがあります。
しかしアクリルやマイクロファイバーも、れっきとしたプラスチック製品です。使用中に抜け落ちた繊維が、どんどん下水に吸い込まれ海を汚してしまいます。
同じように、メラミンスポンジの削りカスも要注意です。茶渋を取るときなどにとても便利ですが、削れた部分はほぼ下水に流れている事実を忘れないようにしましょう。
環境に優しいおすすめスポンジ
天然素材のキッチンスポンジを使えば、マイクロプラスチック流出の心配はありません。環境に優しいおすすめのスポンジを紹介します。
セルローススポンジ
セルロースとは、植物の細胞壁の主成分です。食物繊維の一種と考えると分かりやすいでしょう。
食器洗い用のセルローススポンジは、木を木材に加工するときに捨てられてしまう、葉や枝、根を原料としています。
100%植物性なので、使い終わったら土に埋めたりコンポストに入れたりして処分できます。
カラフルなタイプや、動物型などかわいい製品が多く、楽しい気持ちになれるのもポイント。
吸水性・速乾性に優れており柔らかくて手になじみやすいため、プラスチックスポンジと同じ感覚で使いたい人にもおすすめです。
ヘチマスポンジ
ヘチマを乾燥させて作るスポンジは、やや硬めのテクスチャーで食器洗いはもちろんフライパンや鍋洗い、野菜の泥落としなどにも活躍します。
セルロース同様100%植物由来ですから、破れたら庭に埋めてもOK。有害物質が出ないので、燃えるごみに気兼ねなく出せるのも魅力です。
ただし濡れたまま放置するとカビるため、使った後はしっかりと乾燥させましょう。
セルロースとヘチマのハイブリッドも
やわらかなセルロースと、ハードなヘチマの両方を兼ね備えた、ハイブリッドタイプもあります。
裏がタワシのようになっている食器洗いスポンジに似ていて、使いやすいでしょう。
セルロースとヘチマ、どちらにしようか迷っている人にもおすすめです。
環境に優しいスポンジ以外の食器洗い用品
続いてふきんやタワシなど、スポンジ以外の環境に優しい食器洗い用品を紹介します。
綿のふきん
綿100%の「ふきん」なら、プラスチック繊維を出さないだけでなく、洗濯機で洗って清潔に保つこともできます。
特に「ガラ紡(ぼう)」と呼ばれる凹凸のある糸で織られたふきんは、お湯だけで汚れがよく落ちると好評です。
洗剤も使わずに済むので、手荒れが気になる人にも◎。
びわこふきんは人気が高く、価格が上がったり売り切れになったりすることもよくあるようです。そんなときはこちらもチェックしてみてください。
コットンタワシ
「アクリルタワシ」は洗剤不要で手作りもできるため、エコなキッチンスポンジの代表選手のイメージがあります。
しかし実際には大量のマイクロプラスチックを流してしまうため、あまりおすすめできません。
アクリルの代わりに、コットンの糸で編めばぐっとエコなアイテムに!
手芸が好きな人は、ぜひ手作りコットンタワシ作りに挑戦してみましょう。
天然素材タワシ
フライパンや鍋、ザルなどを洗うのに便利なタワシにも、安価なプラスチック製がたくさんあります。
プラスチックのタワシはカラフルで雑菌が繁殖しにくいから、つい使ってしまいがちですが、やっぱりマイクロプラスチック増加の原因なので注意しましょう。
持ち手もブラシも天然素材のこんなタワシなら、キッチンをおしゃれに見せられますよ。
いつものスポンジも一工夫で環境に優しく!
プラスチックのスポンジは環境によくありませんが、天然素材に比べて安価で使いやすいのも事実です。
エコを意識するあまり、無理に高いものを買ったりお手入れの手間がかかったりしても、長続きしません。
そこで、忙しい主婦でも簡単にできる「環境に優しい食器洗いの方法」を紹介します。自分ができることから、少しずつ始めていきましょう。
へたりにくいスポンジを選ぶ
キッチンスポンジは消耗品です。へたりやすいスポンジを使っていれば、しょっちゅう交換しなければならず、ごみが増えるばかりです。
へたりにくいスポンジに変えて、ごみを減らすのも、十分環境に優しい活動といえるでしょう。
へたりにくいスポンジといえば、「サンサンスポンジ」です。水切れがよいためヌメヌメしにくく、人によっては1年ほど持つことも。
少し大きめなので、泡立ちが悪くなってきた頃にお風呂掃除に使ったり、カットしてサッシの掃除に使ったりすると無駄になりません。
圧縮されて届くので、ストックしておくのも楽ですよ。
洗剤の使用量を減らす
合成洗剤を大量に流すと、下水処理の負荷が増えてしまいます。
洗剤の使用量を減らすには、油汚れをできるだけ落としてから洗うのが基本です。
たとえば麺類をゆでた後のお湯をそのままとっておき、食後に使い終わった食器にかけると、ソースや油がびっくりするくらい流れ落ちます。ソースが付いたまま洗うときに比べて、少量の洗剤できれいになり、すすぎもすぐ終わります。
炒め物や揚げ物の後の鍋には、重曹がおすすめです。タワシに重曹をつけてぬぐい、お湯ですすぐと洗剤を使わなくてもずいぶんスッキリします。
「たくさん使わなくても、きれいになる」方法を知っていれば、食器洗いにかかる時間も、水道代も節約できて一石二鳥です。
環境に優しい洗剤を使ってみたい人は、こちらもお読みくださいね
水筒用スポンジも工夫しよう
水筒を洗うために、長い柄のついたブラシやスポンジを使っている人も多いでしょう。水筒スポンジもほぼプラスチック製なので、食器スポンジと同じく環境に優しくありません。
交換するたびに柄の部分もごみになるため、むしろ無駄が多いといってもよいでしょう。
水筒を毎日使っている人は、捨てずに長く使えるものや、先端だけ交換できるものに替えていくことをおすすめします。
水筒そのものを、洗いやすいタイプに買い替えるのもアリです。ブリタのボトル型浄水器は水道水を使うので、汚れが蓄積しにくく、洗うパーツも少なくて済みます。
キッチンスポンジを替えて脱プラスチック!
プラスチックごみの削減は、数ある地球環境を取り巻く問題の中でも、特に身近なテーマといってもよいでしょう。
プラスチックは自然界で分解されないために、放っておいても減ることはありません。
国や団体などによる回収活動も盛んに行われていますが、まずは私たち一人一人が、マイクロプラスチックを増やさないよう意識する必要があります。
個人の努力は小さくても、みんなが気を付ければ効果は大きいはずです。毎日の食器洗いから出るごみを減らし、脱プラスチックに貢献しましょう。