大学受験 塾なし 国公立合格は夢?体験をもとに判断基準や心構えを解説
塾なしで国公立大学を受験するのは無謀でしょうか?塾代は家計に大きな負担ですし、送迎や面談などで時間も取られます。もし塾に通わずに国公立大学に合格できたら、保護者としては理想的です。
親子2代で塾なし国公立大現役合格を達成した立場から、塾に通うかどうかの判断基準や塾なし受験に挑む際の心構えを解説します。
私立大学や推薦入試を目指す人にも参考になるはずなので、ぜひ読んでみてください。
大学受験生の通塾の割合
そもそも塾なしで大学受験に挑戦する人の割合は、どのくらいなのでしょうか。データや経験から、近年の傾向を見ていきましょう。
塾行かずに国立大学受験は少数派
ベネッセの調査によれば、子どもの通塾率は増加傾向にあり、小学生でも3人に1人くらいは塾に通っています。高校生の場合は、偏差値の高い学校の生徒ほど通塾率が高い傾向にあります。
塾に通う目的は学校の勉強の補助と受験勉強の二つに分けられるため、受験のみを目的とした場合の通塾率はもっと高いと考えられます。
中学受験はもちろんですが、高校や大学受験で難関校を目指すなら、やはり塾に通うのが王道といえるでしょう。
大学に進学した学生の約60%が塾に通っていたというデータもあり、国公立大学に限れば塾なし受験の割合は低いと考えてよいでしょう。
参考:学校外の学習機会
参考:大学卒業生に聞く!塾・予備校に通っていた人の割合は??
私立中高一貫校でも通塾が基本
中学受験を頑張った家庭の場合、通塾に対する考え方は2極化すると感じています。
進学先にもよると思いますが、我が家の子ども2人(女子と男子)が進んだ中高一貫校では、いずれも合格発表の直後から塾に通い始める子が一定数いました。
一方では、「高い学費を払うから塾に行かせる余裕はない」「小学生のうちに勉強を頑張ったので、しばらく塾はいいかな」と考える家庭もあります。
こればかりは各家庭の状況によって変わるため何ともいえませんが、最終的に高校2年生になる頃には、ほぼ全員通塾していると思って間違いありません。
ちなみに学校側は、学年が上がるほど塾が忙しくて遅刻や欠席する生徒が増えると嘆いており、早くからの塾通いはおすすめしません!と保護者会でつぶやいていました。
通い始める時期やかける費用はさまざま
とはいえ、塾に通い始める時期やかける費用はさまざまです。
勉強するのは子ども本人であり、部活にのめり込む、留学する、中学1年から東大医学部しか頭になくて塾に行きまくりなど、いろんな生徒がいて当然です。
保護者としては、本人が悔いなく学生生活を謳歌できるようにサポートするしかありません。
国公立大学受験に塾なしで挑むかどうかの判断基準
現在、国公立大学を受験するなら通塾は常識といってよい状況です。しかし経済的に余裕がなく塾に通わせるのが難しいときや、子どもが塾に行く必要性を感じていないときは、本当に塾なしで大丈夫なのか判断しなくてはなりません。
実は私も2人の子ども達も、高校時代に塾に一切通わずに国公立大学に合格しています。その経験から、塾なしで行けるかどうかを判断する基準を解説します。
志望校が得意科目のみで勝負できる
合否判定にかかわる共通テストの科目や、2次試験の科目が限定されている大学は、塾なしでも合格できる可能性が高めといえるでしょう。
国公立大学の合否は、基本的に共通テストの必要科目の得点と2次試験得点との合計で決まります。
たとえば文系大学の場合は共通テストの中でも国語や英語、社会の歴史科目などの得点を採用し、理系は数学・英語・理科系科目が採用されます。他の科目は「足きり」されない程度の点数を取れればOKです。
中には共通テストの得点は無関係で、2次試験のみで合否判定する大学もあります。こうした大学を志望する場合は得意科目のみで勝負できるため、あえて塾に通う必要はないかもしれません。
我が家もこの戦略で塾なし合格を果たしました。
- 私:共通1次試験で足きり点をクリア、2次試験が国語と英語のみの旧帝大文系学部に合格
- 娘:センター試験の判定が理系科目のみ、2次試験は英語・数学・実技のみの公立大学に合格
- 息子:共通テストは無関係、2次試験は数学・英語・物理・化学のみの理系国立大学に合格
ただし東大や京大といった超難関大学は共通テスト全科目の得点が勝敗を分けることも多く、得意だ苦手だと言っている場合ではありません。このため塾なし受験のハードルは、非常に高いといえます。
模試の結果や普段の学習態度で決めても
通っている高校が進学校の場合、定期的に学校で模試を受けるはずです。模試では受験前に志望校をいくつか書かされ、点数によって現在どの程度合格に近いかを教えてくれます。
仮に模試の結果が毎回よければ、油断さえしなければわざわざ塾に行かなくても十分合格を狙えるでしょう。
また共通テストの出題範囲は、ほぼ高校で習う内容です。学校の成績が安定して良好な場合、志望校によっては塾での共通テスト対策はそこまで必要ありません。
通うとしても、2次試験用の特別講習や苦手科目の対策程度で済む可能性があります。
塾なし国公立大学受験に必要な心構え
子どもが塾に行かずに大学受験に挑戦すると言ったとき、保護者としてはどのようなサポートをするべきでしょうか。子どもにも教えておきたい、受験勉強の心構えを見ていきましょう。
自ら学習する姿勢
塾なしで国公立大学に合格するためには、自ら学習する姿勢は欠かせない要素であることは言うまでもありません。
塾に行けば自動的に勉強する環境に身を置けますが、家にいるとゲームやら漫画やらにハマって集中できず、結果的に学習時間が短くなってしまうでしょう。
周囲のほとんどが塾に通っている状況で、自己管理もできない人が塾なし受験に挑むのは無謀といえます。私と娘は相当自己管理できた方ですが、息子はそうでもなかったため、大変心配させられました。
ただ、高校生といえども、自分が言い出したことには責任を持つべきです。子どもがいつまでもダラダラしているときは、一言「どうなっても知らないよ。自分で決めたんだからね」と言いましょう。
高校の授業を真面目に受けよう
塾なしで国公立大学に合格できる人の特徴の一つが、高校の授業を真面目に受けていることです。授業をさぼらないのはもちろん、課題はもれなく提出し、定期テストでは高得点を取っています。
前述の通り、共通テストの出題範囲は高校で習う内容がほとんどですから、進学校に通っていれば、これだけで少なくとも共通テスト対策はクリアできるはず。
真面目な生徒は先生や友人にも信頼されやすく、分からないことを教えてもらえるメリットもあります。高3にもなると塾が忙しくて学校に来なかったり、来ても寝ていたりする生徒もいますが、とてももったいないと思います。
せっかく進学校に通っているのですから、学校をもっと活用できるとよいですね。
保護者は受験情報にアンテナを
大学に進学していない、あるいは推薦・AO入試しか経験がない保護者は、一般的な大学受験がどのようなものかピンとこないかもしれません。
受験に関する最新情報は塾に通っていれば自然に入手できますが、塾なしで受験に挑む家庭は情報不足でますます不安になるでしょう。
受験情報はWebサイトやママ友同士の会話、高校の先生との面談などから収集できます。我が家の場合は保護者会に必ず参加して、必要な情報をほぼ集めました。
何はともあれ、常にアンテナをはり、正しくて新しい情報を集めるのが保護者にできる最低限のことといえます。
塾なし国公立受験のメリット
近年の動向から見ても、塾なしで国公立大学を受験するのはレアケースです。しかしその分、チャレンジする側には大きなメリットがあります。
自分のペースで学習できる
学校や塾が自宅から遠い場合、帰宅時間が遅くなり、ただでさえ少ないプライベートな時間がより少なくなります。
受験生なので仕方がないとはいえ、こうした日々が続くと心身ともに疲れて、ストレスをため込んでしまう恐れもあるでしょう。
講座によっては既に理解している内容ばかりで、時間が無駄になることもあります。子どもの性格にもよりますが、学校から真っ直ぐ帰宅してマイペースで勉強する方が、精神的にも体力的にも安定するかもしれません。
自己管理能力や自己肯定感を高められる
通塾が当たり前の世の中で、塾なしで国公立大学に合格すれば、親に感謝されるばかりか周りからも一目置かれることは必至です。もし不合格でも、自分のやりたいようにやったなら、後悔は少ないでしょう。
結果として自己肯定感が高くなり、滑り止め校や予備校に行くことになっても、胸をはっていられます。また塾なしで受験できる人は、自己管理能力が身に付いているといえます。
大学ではこれまで以上に自己管理が求められるため、その点でも有利と考えてよいでしょう。
経済的負担が軽く済む
経済的な負担が軽いことは、保護者にとっては大きなメリットです。塾の費用は居住地や受講する講座数によって異なりますが、首都圏で国公立受験に向けて通う場合、高3の1年間で100万円ほどかかるそうです。
塾までの交通費や夕食代なども別途かかるため、実際の出費はもっと大きいでしょう。塾なしの場合、受験勉強にかかるお金は参考書や過去問集、通信教材の受講料程度で済みますし、余計な交通費や食費もかかりません。
塾代を払ったと仮定して、合格できたら豪華なごほうびをあげてもよいくらいです!
塾無し大学受験のデメリットも知っておこう
塾なし国公立受験に挑戦するなら、デメリットや注意点も押さえておきましょう。課題がはっきりしていれば、対策しやすくなります。
苦手科目への対応が遅れがち
塾に通っていれば、模試の結果などを分析して弱点を補強する方法を提案してもらえます。手厚いサポートがウリの塾も多く、受験生にとっては頼れる存在となるでしょう。
一方で、塾なしの場合は自分でなんとかするしかありません。弱点に気付かない、得意科目ばかり勉強するなど、苦手な科目への対応が遅れがちになります。
不安感やモチベーションの低下
模試で結果が出ないときなど、「やっぱり塾に行かないとだめなのかな」と不安になることもあるでしょう。
ライバルの様子が分からない・一緒に頑張る仲間がいないなどの理由で、本人のモチベーションが急に下がることも考えられます。
重要なのは、志望校に合格することです。自宅での勉強が手に着かない様子が見られたら、よく話し合って通塾や他の学習方法を検討するとよいでしょう。
保護者の精神的負担も大きい
本人がよくても、保護者が不安に陥ってしまうのが塾なし受験のデメリットでもあります。特にほとんどの生徒が塾に通っていると聞けば、「うちの子大丈夫なのかな」と思うのは当然です。
いつも家にいるので、本当に勉強してるのか疑ってしまう気持ちも分かります。ただ、あまり口うるさくすると逆効果です。
(たぶん、きっと、おそらく)本人が一番分かっているので、親は気にしないのが一番です。体調を崩さないよう、胃薬でも常備して乗り切りましょう。
塾なしで国公立大学を目指すときの勉強法
塾なしで国公立大学を目指す場合の、おすすめの勉強法を紹介します。家庭の状況に合わせて、工夫してみましょう。
模試や過去問で出題傾向・学習レベルを把握
まずは過去問や模擬試験を解いて、行きたい大学や学部の出題傾向と自身の学習レベルを理解しましょう。模試の多くは塾が主催していますが、申し込めば塾生以外でも普通に受けられます。
過去問集や参考書などは書店でいつでも買えますし、直近の過去問は大学の公式サイトからダウンロードも可能です。
志望する大学をいくつか選び、必須の科目や問題の解きやすさなどを体感することで、どのような対策が必要かおのずと理解できます。
苦手科目の学習を工夫
志望校の受験科目に苦手な分野がある場合は、優先的に対策しましょう。その科目だけ塾に頼ってもよいですし、高校の教科担任に相談するのも有効です。
苦手科目を後回しにしないように、楽しく学べる方法を考えてみてもよいでしょう。例えば英語のリスニングが苦手なら、好きなジャンルの映画や音楽を英語で鑑賞するのもアリです。
娘は大好きなディズニー映画で勉強していましたし、息子はなぜか源氏物語にハマって苦手な古文が好きになりました。高校の国語の先生が面白くて、乗り切れたとも言っています。
必ずしも受験用の教材にこだわる必要はないのだと、よく分かったできごとでした。
学習環境を整える
受験勉強が本格化する高3の夏休み以降は、家庭学習の時間も増えてきます。自分の部屋で勉強するのが基本ですが、子どもによってはリビングの方が集中できることもあります。
机の配置や部屋の明るさ、ゲーム・漫画の収納方法など、子どもと一緒に考えながら集中できる環境を用意しましょう。
ちなみに我が家は2人とも自分の部屋とリビングを行き来しながら勉強していました。家の中でも場所を移動することで、気晴らしになっていたのかもしれません。
参考書・通信教材は手を広げ過ぎない
塾なしの場合、不安のあまりにいろいろな教材に手を出しがちです。しかしそれでは時間がかかるだけで、あまり効果は得られません。山積みの参考書を前に、余計なプレッシャーを感じる恐れもあります。
それよりも、志望校の出題傾向・レベルに合う参考書や問題集を厳選し、繰り返し解く方が効率的です。参考書の選び方は、高校の先生や先輩に聞くのもおすすめです。
大学のオープンキャンパスなどでも聞けるので、積極的に利用しましょう。
塾なし国公立大学受験におすすめの通信教材・参考書
最後に塾なし国公立大学合格に近付けるサービスや教材を紹介します。無料体験や資料請求ができるので、予算や好みに合わせて選んでみてください。
国公立推薦対策に マナビライト
「マナビライト」は総合型選抜・推薦入試対策したい人におすすめのオンライン個別指導です。近年は大学入試の方式の一つとして総合型選抜・推薦入試が注目されています。
総合型選抜や推薦入試で入学する人は、国公立大学でも30%を占めるほどです。
受験生にとっても、一般入試よりも早く結果が出るため、入学までの期間にバイトしたり、思い出作りしたりできるのが魅力。
滑り止め校への受験料や入学金の支払いもないため、経済的にもメリットは大きいといえるでしょう。
一般入試では手が届かないレベルの大学にも、マナビライトで総合型選抜や推薦入試の対策をしっかり行うことで、合格のチャンスを増やせます。
オンラインなので地理的な制約もなく、全国どこにいても憧れの大学の入試対策が可能です。
資料請求&受験相談はもちろん無料です。塾無し国公立合格を目指すなら、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
授業動画見放題 スタディサプリ大学受験講座
月額2,178円(税込)で始められる通信講座です。入会すると1回15分の授業動画が見放題となり、復習から苦手科目対策、学校別対策まで目的に合わせて自由に受講できます。
時間のあるときにまとめて視聴してもよく、部活などで忙しい高校生でも効率よく学習できます。
スマホでいつでも見られるのも、大きなメリットです。ただし画面が小さいため、自宅で視聴するならタブレットやパソコンの方がよいでしょう。
14日間の無料体験があるので、まずは会員登録してみてはいかがでしょうか。
国公立大学受験生にも人気 Z会
Z会はスタディサプリに比べると高額ですが、塾に通うよりはお手頃な通信講座です。専用タブレットまたはテキストで受講するので、スマホやパソコンがない人でもマイペースで学べるのが魅力です。
苦手科目の強化や学校別対策など、目的に応じて受講科目を選べ、無駄がありません。入会資料は無料で、教材の見本や受験最新情報などがもらえます。
塾なし受験の不安を解消するためにも、資料請求しておいて損はありませんよ。
チャート式
数学の強化におすすめな、定番参考書です。我が家の子どもたちも、これだけは外せないと言っていました。
レベル別、科目別に表紙の色が異なり、一発で選べます。
ターゲットシリーズ
英単語の暗記に役立つ参考書です。定番の単語帳だけでなく、聞いて覚える・書いて覚えるなどさまざまなラインナップがあります。
高校のテキストとして使われることも多く、共通テストの英語対策に役立つでしょう。
赤本シリーズ
赤本シリーズは自宅学習の強い味方です。共通テストだけでなく、大学別の過去問赤本もあり、志望校合格には欠かせない教材といっても過言ではありません。
塾なしの人はもちろん、大学受験生なら必携です。ただし売り切れることもあるので、早めに購入しましょう。
私、2次試験対策は、赤本だけで乗り切った記憶があります…
塾なし難関国公立大学合格は夢じゃない
塾なしで国公立大学に合格する人は一定数存在します。高校での学びを大切にして、自分の弱点や強みを自分で理解できるなら、挑戦する価値は十分にあるでしょう。
大切なのは塾に行く行かないではなく、納得できる学習スタイルを貫けるかどうかです。悔いの残らないように、子どもとしっかりと話し合い、合格に向けて努力しましょう。