本当に環境に優しい洗剤とは?エコな洗濯洗剤の選び方とおすすめを紹介
地球温暖化や海洋汚染、砂漠化などのニュースを見聞きして、少しでも地球環境に優しい生活を心がけようとする人は多いでしょう。近年はSDGsの実現のために、国や企業レベルでの環境への取り組みも進んでいます。
主婦として母として、地球のためにできることはたくさんあります。特に毎日の家事は、工夫次第でエコ活動に貢献できる作業です。
今回は毎日のルーティーンの1つ、洗濯で使う洗剤について、環境に優しいアイテムを紹介します。
環境に優しい洗濯洗剤とは
「環境に優しい」洗剤と名乗るには、さまざまな条件があります。
もちろん、すべての条件を満たしていれば最高ですが、一つだけでも満たしているものを選ぶことで地球環境の保全に少しでも貢献できるはずです。
洗濯洗剤における「環境に優しい」条件を見ていきましょう。
化学物質不使用
石油などを原料として人工的に合成された化学物質の多くは、環境汚染の原因となります。天然の素材と異なり、土や水で自然に分解されず、いつまでもそのままの姿で残るのも問題です。
特に洗濯洗剤は水と一緒に下水へ流れていくため、プラスチック容器やペットボトルのように適正な処分が難しい一面もあります。
日本では高度な浄水処理が行われているとはいえ、化学物質だらけの水をきれいにするためには、非常に多くのエネルギーが必要です。
まずは化学物質をできるだけ使わず、天然由来の原料を使用した洗剤を選ぶことが重要です。
すすぎ回数が少ない
洗濯にはたくさんの水道水を使います。安全な水道水が貴重な資源であることは、すでに理解している人も多いでしょう。
いくら天然成分を使った洗剤でも、すすぎに大量の水を使ってしまうようでは意味がありません。
環境問題うんぬん以前に、水道代がかかるのも問題ですね。
すすぎの回数が少ない洗剤は、それだけで環境に優しいといえるでしょう。
容器の素材もエコ
プラスチックごみの削減も、環境問題解決の近道です。プラスチックは石油から作られるため、燃やせば二酸化炭素が発生し、土に埋めれば分解されずにそのまま残ります。
リサイクル技術が進んだとはいえ、いまだに回収や再利用に多くのエネルギーを使うことが課題となっています。
洗剤の成分が環境に優しくても、容器がバリバリのプラスチックだとやはり無意味なのです。
生分解性プラスチックや耐水紙など、容器の素材にも注目してみるとよいでしょう。もちろん、詰替えに対応しているかどうかも要チェックですよ。
輸送によるCo2排出を抑えられる
地産地消という言葉があるように、わざわざ遠くから運んできたものを使うよりは、その辺で作ったものを使う方が、環境に優しい暮らしを実現できます。
洗濯洗剤も、海外製品より国産を選ぶことで輸送時に排出されるCo2を減らすことが可能です。
またネットで買うより歩いて行ける近所のドラッグストアやスーパーで買える方が、より環境に優しいといえます。
本当に「環境に優しい」洗剤の選び方
環境に優しい暮らしは、長く続けてこそ意味を持ちます。
高い意識を持ってエコ製品を買ってみたものの、結局続かなかったという体験をするのはよくありません。
個人でも続けやすい、本当の意味でエコな洗剤を選ぶポイントを見ていきましょう。
お財布に優しい
家計を預かる主婦にとって、どれだけお財布に優しいのかは、最重要ポイントです。子どものため、地球の未来のためとはいっても、家計を圧迫するほど高価な洗剤を使うわけにはいきません。
1度くらいは買えるかもしれませんが、生きている限り洗濯が終わることはないため、高い洗剤では長続きしないでしょう。
背伸びせず、それぞれの家庭の事情に合わせた価格帯のものを選ぶことをおすすめします。
なお、洗濯費用節約のために、柔軟剤を使わなくてもふっくらする製品や、天然アロマの香りが楽しめるものを選ぶのもアリです。
おしゃれ着用洗剤を別に使っている人は、中性タイプを選ぶことで一本化でき、コストや収納スペースの削減が可能です。
買いやすい
洗濯洗剤は日用品ですから、買いやすさも重要です。
遠くの店に行かなければ買えない、またはAmazonや楽天など大手ネットショップで売っていないような洗剤は、買うのがめんどくさすぎて長続きしないでしょう。
それでなくても主婦は忙しいので、洗剤探しに貴重な時間を割く必要はありません。
使い方が簡単
簡単に使えるのも、本当に環境に優しい洗剤の条件です。〇〇度のお湯で〇〇グラムを溶かして・・・・などと言われても、いちいち覚えていられません。
主婦にとっては、自分の家の洗濯物をいかに効率よく洗えるのかが大切ですから、できるだけ簡単に使えるものを選ぶようにしましょう。
基本的には粉末タイプよりも液体タイプの方が、水に溶けやすいため使い勝手もよいといえます。
デメリットも理解する
市販の化学洗剤の多くは、汚れがよく落ちる・部屋干し臭を抑える・除菌するなどの機能がセールスポイントです。
環境に優しい洗剤も、もちろん汚れ落ちや除菌消臭にこだわって作られているものの、成分に制限がある以上は化学物質たっぷりの洗剤には太刀打ちできません。
また天然素材を使った洗剤は、人工的にいくらでも作れる化学洗剤に比べて価格も高めです。機能的な洗剤を長く使っている人ほど、環境に優しい洗剤に物足りなさを感じるでしょう。
しかし地球環境がここまで破壊された原因は、人間が快適な生活を追い求めたことにあります。化学洗剤も人間にとって都合のよいように作られているだけで、地球にとっては大迷惑なのです。
環境に優しい洗剤のデメリットは、裏を返せば地球のメリットです。このことを理解して選べば、後悔もなくむしろ満足度が高まるでしょう。
環境に優しい洗濯洗剤 おすすめ節水タイプ
環境に優しい洗濯洗剤の中から、主婦の目線で使いやすそうなものを選び紹介します。まずはすすぎの回数が少なくてよい節水タイプを見ていきましょう。
サラヤ ヤシノミ 洗たく洗剤 濃縮タイプ
ヤシの実に由来する植物性洗浄成分を使った、濃縮タイプの洗濯洗剤です。肌に刺激のある合成香料・着色料・抗菌剤などは一切含まれません。
蛍光増白剤や漂白剤も無配合で、衣類の色柄や風合いを守ります。
すすぎが1回でOKなうえに、売上げの1%がボルネオ島の環境保全に使われます。
500円以下で買えるのに、約60回(水30Lの場合)使えるのもポイントです。
液性 | 弱アルカリ性 |
用途 | 綿・麻・絹・合成繊維 |
洗濯回数 | 600mlで約60回分※水30Lの場合 |
香り | 無し |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | あり |
すすぎが0回 生活の木 海にやさしいお洗濯
なんと、すすぎが0回でOKな節水タイプの洗剤です。(※ドラム式洗濯機はすすぎ1回がおすすめ)
100%植物由来の洗浄成分でお肌に優しく、柔軟剤なしでもふんわりとした仕上がりに。赤ちゃんの肌着洗いにもおすすめできます。
ウール・シルク・ダウン素材も洗えるので、クリーニング代の節約にも◎。一見高価ですが、水道代や柔軟剤・おしゃれ着洗剤の費用を考えるとコスパは高いといえるでしょう。
アロマグッズを販売するメーカーだけあり、天然精油のほのかな香りにも癒されます。
液性 | 中性 |
用途 | 綿・麻・絹・合成繊維・ウール・ダウン製品など |
洗濯回数 | 300ml約60回分※水30Lの場合 |
香り | ラベンダー・ホーリーフ・ベルガモットなど |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | あり |
食洗機にも使える バンブークリア
国産の竹炭から作る無添加の洗剤です。界面活性剤を使用しておらず、泡が立たないためすすぎ1回でOKです。
薄めて家の掃除に、また食洗機用洗剤としても使える優れもの。
竹は近年、プラスチック製品の代替品としても注目を集めている天然素材です。抗菌・防臭効果が高く、洗濯や掃除に使えるのもうなずけますね。
液性 | 弱アルカリ性 |
用途 | 綿・麻・ウール・シルク・コットン・合成繊維など |
洗濯回数 | 620ml約62回分※水30Lの場合 |
香り | なし |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | あり |
竹の特徴やおすすめエコグッズはこちらでも紹介しています。
容器がエコなおすすめ洗濯洗剤
プラスチックの容器は軽くて液体が漏れることもなく、洗剤のパッケージには最適です。
しかしいつかはごみになってしまうため、できれば避けたいところです。プラごみ削減にも役立つ、エコな容器の洗剤を紹介します。
リフィルステーションがある エコストア ランドリーリキッド
エコストアはニュージーランドで生まれたサスティナブルブランドです。
パッケージにはサトウキビ由来&再生プラスチックを使用し、日本各地に量り売りの「リフィルステーション」も設置されています。
大容量の詰替えもあり、無駄なごみを出さずに済むでしょう。柔軟剤がいらないソフトな仕上がり、天然精油の優しい香りも魅力です。
エコストア公式オンラインショップでは、洗濯洗剤の他にも歯磨き粉や食器用洗剤などがそろっています。おすすめ商品がひとまとめになったスターターキットもあるので、興味がある人はチェックしてみましょう。
液性 | 弱アルカリ性 |
用途 | 綿、麻、合成繊維 |
洗濯回数 | 約28回分※1Lボトルの場合 |
香り | ゼラニウム&オレンジ、ユーカリなど |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | あり |
ガラスボトルに詰替え 海へ…Fukii
「海へ…」は汚れが再付着せず、すすぎ不要な洗剤です。レトロな雰囲気ただよう、ガラス製「千年ボトル」に詰め替えて使います。
一見洗濯洗剤には見えないほどおしゃれで、洗面所周りの雰囲気がぐっと落ち着くでしょう。
ウールやシルクのほか、ダウンコートやレインコートのような衣類も手軽に洗えて、クリーニング代の節約にも貢献します。
水で薄めれば掃除にも使えます。
液性 | 中性 |
用途 | 綿、麻、合成繊維、毛、絹、防水透湿性素材 |
洗濯回数 | 約76回分※水30Lの場合 |
香り | ラベンダー・ホーリーフ・ベルガモット |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | あり(ボトルが別売) |
レトロな缶がおしゃれ Nellie’s ランドリーソーダ
70年代風なデザインのスチール缶に入った、粉末の洗濯洗剤です。
缶を置いておくだけでランドリールームが一気にあか抜けて、生活感を一掃できます。
成分はココナッツオイル由来の界面活性剤・炭酸ナトリウム・メタケイ酸ナトリウム・塩化ナトリウムのみと、とてもシンプル。
粉末ですが水に溶けやすく、さっぱりとした洗い上りが特徴です。
液性 | 弱アルカリ性 |
用途 | 綿、麻、合成繊維用 |
洗濯回数 | 約100回分※水30Lの場合 |
香り | なし |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | 不明 |
再生プラスチック容器 エコベール おしゃれ着洗剤
エコベールは、1979年に創業した老舗洗剤ブランドです。植物由来の洗浄成分がしっかりと汚れを落とし、肌に優しい仕上がりになると好評です。
またエコベールでは容器の素材に、100%リサイクルのプラスチックを使用しています。
海洋プラスチックの回収や、サトウキビ由来のバイオマスプラスチックの開発にも積極的に取り組み、プラごみ削減に貢献しています。
早くから環境に配慮しているブランドだけあって知名度が高く、製品ラインアップも豊富です。スーパーなどで購入しやすい点も、おすすめポイントです。
液性 | 中性 |
用途 | 綿・麻・毛・絹・合成繊維 |
洗濯回数 | 600ml約30回分※水30Lの場合 |
香り | ラベンダー・サンダルウッド |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | あり |
成分にこだわった個性的なおすすめ洗剤
環境に優しいことをうたっている洗剤の中には、成分の調達や加工の課程が、実は環境によくないものも存在します。
ただしメーカーが公開していない限り、消費者が生産工程までチェックするのは難しいでしょう。
成分の内容にもしっかりとこだわりたい人に、おすすめの洗剤を紹介します。
天然酵母の洗浄成分 ハッピーエレファント 液体洗たく用洗剤
「ハッピーエレファント」は、天然酵母が生み出す洗浄成分・ソホロを使った洗剤のシリーズです。ヤシノミ洗剤で知られるSARAYAが製造しています。
容器には、再生可能なサトウキビ由来の「バイオマスプラスチック」を配合しています。
ウールやシルク製品も洗える中性タイプなので、ランドリールームもすっきり。
リラックス効果の高いラベンダーと、抗菌作用のあるティーツリー精油も入っていますよ。
液性 | 中性 |
用途 | 綿・麻・毛・絹・合成繊維 |
洗濯回数 | 600ml約30回分※水30Lの場合 |
香り | ラベンダー・ティーツリー |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | あり |
オーガニック栽培の植物を使用 ソネット ナチュラルウォッシュリキッド
ソネットは1977年にドイツで生まれたオーガニック洗剤のブランドです。原料には、ヨーロッパの機関で認定された有機栽培植物を使用しています。
オーガニック栽培は、植物自体の安全性が高いのはもちろん、栽培する土地や働く人にも優しい方法です。
もちろん石油系の成分は一切含まず、排水中の成分は完全に生分解されます。水に溶けやすく、柔軟剤なしでも柔らかく仕上がるのも魅力。
オーガニック精油を配合した香り付きタイプもあります。
液性 | 弱アルカリ性 |
用途 | 綿・麻・レーヨン・化繊 |
洗濯回数 | 2L約40回分※水45Lの場合 |
香り | なし |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | あり |
界面活性剤不使用 洗濯洗浄剤 バイス
バイスはナチュラルクリーニングの代表選手・重曹と炭酸ソーダを使用した洗浄剤です。界面活性剤が入っていないため、すすぎが1回でよく、気になる洗剤残りもありません。
実はこれまで、重曹などが主成分の洗浄剤には「再汚染防止機能」がなく、洗濯には使えないといわれていました。
しかしバイスは再汚染防止機能の付加に成功しており、ドイツの調査機関のテストでも高い洗浄力が認められています。
重曹が主成分なため、消臭機能や洗濯槽洗浄機能もあり、スプレー状にして家の掃除にも使えます。
部屋干し臭が気になる人、洗濯槽や排水管の汚れに悩んでいる人は1度試してみるとよいでしょう。
液性 | 弱アルカリ性 |
用途 | 綿・麻・合成繊維 |
洗濯回数 | 3kg約50回分※洗濯物6kgの場合 |
香り | なし |
ドラム式 | OK |
詰替え用 | なし |
究極のエコ素材 ソープナッツ
ソープナッツは、日本では「ムクロジ」の名で知られる樹木です。ムクロジの実は、羽根つきの羽の先についている、あの黒い玉です。
ムクロジの果皮には界面活性作用のある「サポニン」が含まれていて、石けんの代わりになります。
洗剤の成分に使われるのはもちろん、そのまま布袋に入れて洗濯機に放り込むだけでも、十分洗濯ができてしまいます。実際に、昔の人はムクロジの実を集めて洗濯していたそうですよ。
ソープナッツは数回使って、泡がたたなくなったら土に埋めたり、コンポストに入れたりして処分すればOKなのも魅力です。
ミルで細かく挽くと、残ったサポニンが出てきてクレンザーとして使うこともできます。
木の実で洗濯なんて、目に見えてエコで、とてもやる気が出そうですね。
環境に優しい洗剤を使ってみよう
毎日の洗濯に環境に優しい洗剤を使うことで、水を汚さないだけでなく、節水や柔軟剤の節約、ごみの削減などさまざまなメリットがあります。
価格が高めで、身近な店にはあまり置いていないのが難点ですが、ネットストアなどを上手に活用すれば、楽にお得に購入できます。
地球の未来のために、できることから少しずつ手を付けていきましょう。