御朱印 いつからある?神社と寺にある理由やいただく際のマナーも解説
これから御朱印集めを始める人はもちろん、すでにハマっている人の中にも、実は御朱印についてよく知らないケースは多いのではないでしょうか。御朱印の起源や意味、いただき方を知っておけば神社仏閣巡りをより楽しめます。御朱印にまつわるよくある疑問をまとめます。
御朱印っていつからあるの?
御朱印はいつ頃から神社仏閣で授与するようになったのでしょうか。起源や歴史を見ていきましょう。
起源は「納経証明」といわれる
御朱印の起源は、写経を奉納した際に寺社からいただく「受取書」ではないかといわれています。
鎌倉~室町時代には「六十六部」と呼ばれる修行者たちがいて、納経のために全国66カ所の霊場を巡っていました。
彼らがお経を納めた証として「納経帳」に「納経印」を書いてもらったのが、御朱印及び御朱印帳の起源とする説が有力です。
ただし長いお経を書き写すには大変な労力がかかり、誰でもできるわけではありません。このため、実は納経は義務ではなく、お札を納めるなど簡単な参拝だけでも証明書がもらえたとの説もあります。
昭和初期から「御朱印」と呼ばれる
一般庶民が納経帳を携帯して神社仏閣を巡り、参拝の証として記帳してもらうスタイルは、江戸時代以降に広まったとされています。明治以降は旅行の自由度が高まり、「集印(御朱印を集めること)」もより盛んになりました。
ただ、当時はまだ「御朱印」とは呼ばれていなかったようです。旅行者数の増加に伴い、ガイドブックなどの出版数も増えた昭和初期頃からは「御朱印」「御朱印帳」などの表記が見られるようになります。
御朱印と神社の関係
もともと納経の受取書から発展したとされる御朱印ですが、なぜか神社でもいただけます。その理由や、寺と神社の御朱印の違いを見ていきましょう。
神社に納経することもあった
江戸時代以前の日本には「神仏習合思想」が根付いていました。神様と仏様は一体であり、寺と神社の区別も曖昧だったのです。
実際に、平清盛は「厳島神社の御祭神=十一面観音」として、厳島神社に納経しています(平家納経)。
同じように神社に納経する人がいたら、神社が受取書を発行しても不思議ではありません。お寺でも神社でも御朱印がいただけるのは、現代人にとってもうれしいことといってよいでしょう。
神社の御朱印は小さめ?
御朱印帳について調べていると、神社用・お寺用でサイズが異なるといった情報を目にすることがあります。大きいのがお寺用で、小さいのが神社用というのが通説となっており、どちらがよいのか迷いがちです。
確かにお寺と神社の御朱印は雰囲気が違っています。お寺の方は太くワイルドな文字が迫力を感じさせ、神社の御朱印はすっきりとした上品な感じがします。
近年は書き置きの御朱印を授与する寺社も増えていますが、この場合も神社の方が用紙が小さい傾向があります。
ただし昔からそうだったとは限りませんし、今は見開きタイプや切り絵タイプなど、御朱印のバリエーションも豊富です。
神社だから小さい御朱印帳にしなくてはならないといった決まりも、その逆もないため、好きなサイズを用意するとよいでしょう。
御朱印集めのやり方は?マナーもチェック
御朱印集めを始める前に、御朱印帳の選び方と、スマートないただき方をチェックしておきましょう。
御朱印帳を用意する
前述の通り、御朱印帳には主に大小2サイズがあります。直書き(御朱印帳を渡して直接書いてもらう)場合は、どちらでも構いませんが、お寺の迫力ある御朱印を楽しむなら大きいサイズがおすすめです。
書き置きの御朱印を貼り付ける場合も、寺社によってサイズがまちまちなので、大きい方が何かと便利です。
その他御朱印帳の選び方と、ネットで買えるおすすめ商品はこちらで紹介しています。
参拝後にいただく
御朱印は参拝の証明ですから、必ずお参りしてからもらいに行きましょう。混んでいる・時間がないなどの事情があっても、先に御朱印をいただくのはマナー違反です。
観光客で賑わっている寺社では、待ち時間短縮のため参拝前に御朱印帳を預けられるケースもあるので、公式サイトなどで方針を確認しておくと安心です。
種類を決めておこう
御朱印のデザインは1種類とは限りません。寺社名と神仏名の両方があったり、季節限定版や色違いなどが用意されていたりするケースもあります。
せっかく足を運んだのだから、全種類欲しいと思う人もいるかもしれませんが、欲張らずに1種類だけ書いてもらいましょう。書き置きをいただく場合も、同じです。
もちろん、違う日に参拝して、違う御朱印をいただくのはOKです。いずれにしても、窓口で「どれにしようかな」と悩んでしまうと、周囲に迷惑をかけてしまいます。どの御朱印が欲しいのかをあらかじめ決めておくと、スムーズです。
小銭を持って行く
御朱印をいただくために支払うお金は、1枚300円~500円ほどです。寺社ではほとんどの場合、電子マネーやQRコード決済などは使えないので、現金を用意しておきましょう。
1万円札や5千円札を出すのも、お釣りを用意するのが大変で、迷惑をかけることになるため控えます。お賽銭や観覧料のことも考慮して、小銭を多めに用意しておくようにしましょう。
普段現金をあまり使わない人は、がま口の小銭入れなどあると便利かもしれません。
御朱印の豆知識
最後に御朱印にまつわる豆知識を紹介します。周りの人より、ちょっとだけ詳しくなってみてはいかがでしょう。
限定版や切り絵も 進化する御朱印
御朱印といえば、朱色の印の上に墨で寺社名や神仏名、参拝日などが書かれたものが一般的です。
しかし近年は、華やかな「切り絵」や「刺繍」の御朱印を授与する寺社も増え、人気を集めています。
書き置きタイプ限定ですが、水色やピンクの和紙に書かれたものもあり、選択の幅が広がっています。
ちなみに切り絵御朱印をきれいに貼れる、専用の御朱印帳を授与する寺社も。
新しい御朱印帳ができました | 世界遺産 真言宗御室派総本山 仁和寺
どれも素敵で、思い出に残るものばかりなので、もし巡り合えたならいただいてみるとよいですね。
御朱印がない寺院も
御朱印はすべての寺社でいただけるわけではありません。教義の違いや書く人がいないなどの理由で御朱印をいただけないこともあるため、心配な人は公式サイトなどで事前に確認しておくとよいでしょう。
特に浄土宗・浄土真宗では、御朱印をいただけない寺院が多いようです。また日蓮宗・法華宗諸派でいただける「御首題(ごしゅだい)」は信者限定だったり、他宗派や神社の御朱印が書かれた御朱印帳には書いてもらえなかったりすることがあります。
とはいえ、観光地にある有名な寺院や札所ではそうとも限りません。浄土宗では、アプリで御朱印を集められる企画も始まっています。
やはり参拝前に、最新情報を調べておくのが確実でしょう。
海外にも御朱印はあるの?
タイや中国など、外国の寺院には、日本の御朱印のようなものは無いようです。ただし移民の多かったハワイや、日本の植民地だった台湾には日本人が建てた寺社が多く、そこでは御朱印をいただけます。
また中国の西安にある「青龍寺」は、弘法大師空海が修行した寺です。廃寺でしたが、現在は空海の記念碑や寺院風の博物館が建ち、四国八十八カ所霊場の「ゼロ番札所」と名付けられています。
御朱印の授与も行っており、中国で御朱印をいただける貴重な場所となっています。
御朱印を通して思い出に残る参拝を
日本には数えきれないほどの神社仏閣があります。京都や鎌倉、東京都内だけでも御朱印帳1冊ではとても足りないほど。いろいろな神様や仏様に、これほど気軽に会いに行ける国は、ほかにはないかもしれませんね。起源や歴史、マナーを押さえつつ、御朱印集めを楽しみましょう。