「うちの子、理系かな?」「文系の私に似て、理科が苦手かも」など、自分の子どもが理系か文系かを気にする親は少なくありません。
実際に理系の学校に進むかどうかはさておき、理科は生きていく上で必要な知識を得られる重要な教科です。
苦手意識を持つことがないように、小さいうちから理科が「好き」「楽しい」と思える環境を作ってあげましょう。
子どもを理科好きにする遊びやおすすめのおもちゃを紹介します。
理科は嫌われ教科?その理由とは
日本を始め、科学技術の発達した先進国では、子どもの理科に対する興味や関心が薄れつつあるといわれています。
受験のために知識だけは覚えようとするものの、「好きではない」と答える子どもも多いようです。
以前に比べて理科が嫌いな子どもが増えた理由は、どこにあるのでしょうか。
世の中が便利になり過ぎた
便利だから理科離れ。近年そのような状況が起こっていることは、どうやら確かなようです。
身近な例として、「お風呂のお湯」があげられます。
昔は浴槽に水を溜めてから、釜でお湯を沸かしていたので、上の方だけ熱くなり、底は冷たいという状態が当たり前でした。
かき混ぜ棒で、よく混ぜてからでないと適温のお湯にならなかったのです。
この現象を自ら体験していれば、学校で「対流」を習ったときに、「あ、あれか」とスムーズに理解できます。
しかし今は給湯器のボタンを押すだけで、適温のお湯が溜まる時代です。
このため「対流」について習っても「そんな現象があるのか」と、知識として覚えるだけになってしまうのです。
世の中が便利になったのは科学の進歩のおかげですが、便利・快適過ぎて理科に興味がなくなってしまうというのも、皮肉な話といえるでしょう。
外遊びで理科的好奇心を刺激しよう
お風呂のお湯に限らず、昔は普通に暮らしているだけで勝手に理科への興味関心が高まる現象に遭遇できましたが、今は違います。
子どもを理科好きにしたいなら、積極的に好奇心を刺激してあげる必要があるのです。
好奇心を刺激するもっとも有効な方法は、「外遊び」です。
外で出会える生き物や土砂、ゴミ、遊具などはどれも立派な理科の教材になります。
しかもほとんど無料で手に入るので、活用しない手はありません。
理科に興味を持たせる外遊びのコツと、おすすめグッズを見ていきましょう。
虫・小動物の観察
虫が苦手な大人は多いですが、そこは我慢してください!
虫はとても身近な生き物ですから、生物分野への興味を持たせるためには、とてもありがたい存在なのです。
一緒に捕まえなくてもいいので、子どもが虫を追いかけるのを止めずに、見守ってあげましょう。
小さな子どもには、アリやダンゴムシがおすすめです。
少し大きくなったら、トンボや蝶、カエルを捕まえることにチャレンジしてみましょう。
クワガタやカブトムシなどは、家で飼ってみてもよいですね。
じっくり観察できる拡大鏡
小さな虫を大きく見せてくれる観察ボックスです。
上と下の両方向から観察でき、虫以外のものを入れても楽しめます。
公園に持って行って、入れるモノを探してみましょう。
植物で遊ぶ
植物の花や実、葉っぱも子どもにとっては不思議がいっぱいの教材です。
庭やベランダで家庭菜園を作ったり、観葉植物のお世話をしたりするだけでも、植物への興味が育まれます。
自宅近辺に生えている樹木を観察すれば、気候や地質の勉強にもなります。
植物を使った主な遊び
- 葉や実を集めてすりつぶす(100円ショップで小さなすり鉢を買っておくとよいですよ)
- 玉ねぎの皮で染め物
- 押し花やドライフラワー作り
- 枯れ葉や枯れ枝を画用紙に貼ってお絵描き
- 栗やどんぐりを拾ってクッキーを焼く
焚き火
近年は「生の火」に触れる機会がめっきり少なくなりました。
子どもに火の怖さと便利さを教えるのも、親としての大事なミッションかもしれません。
キャンプやバーベキューに行くときは、ぜひ焚き火体験をさせてあげましょう。
日常生活の中でもマッチ、ロウソク、ガスコンロなどを使って火に触れる体験は可能です。
虫メガネ+太陽で実験
レンズで太陽光を集めて火を起こす実験は、夏休みの自由研究にもぴったり。
紙はすぐに燃え上がって危ないので、木の板など風で飛ばされにくい素材を使いましょう。
何度も言いますが、くれぐれも火事にはご注意ください。
ペットボトルロケット
ペットボトルロケットも、一度は体験させてあげたい遊びです。
放物線を描いて空高く舞い上がるロケットに、子ども達も大喜び間違いなし。
物理のよい勉強になりますよ。水をかぶりがちですから、夏におすすめです。
家の中で遊びながら理科好きに
天気が悪くて外遊びできない日は、家の中で理科に触れてみましょう。
廃材を使った遊びや、リビングに常備しておきたいアイテムを紹介します。
ドライアイス遊び
生協の宅配を利用している人に、ぜひ試していただきたい遊びです。
冷凍食品用のボックスに入っている、大きなドライアイスを使って遊びます。
ドライアイスとは?二酸化炭素とは?気化や液化とは?といった、化学分野への好奇心を育むチャンスです。
- 大きなボウルや鍋に入れたドライアイスに、水をかけてスモークを発生させる
- コタツテーブルなどにドライアイスの固まりを置いて、テーブルホッケーをする
スモークを発生させるだけなら、スーパーでもらえる細かいドライアイスでも十分です。
アイスクリームや冷凍食品を買ったときに、すかさず試しましょう。
レモンと発泡スチロール
レモンやオレンジなどの柑橘類の皮に含まれる成分、「リモネン」を使った楽しい実験です。
レモンの皮を絞って発泡スチロールにかけると、なぜかその部分だけ溶けていきます。
お絵描きをしたり、スタンプを作ったりして盛り上がりましょう。
発泡スチロールの箱がなければ「納豆のケース」でもOKです。
理系脳作りに必須の磁石のおもちゃ
磁石を使ったおもちゃは、磁力について学べるだけでなく、図形のセンスを磨くのにも役立ちます。
「ピタゴラス」や「マグフォーマー」のように、小さな頃から長く遊べるものもたくさんあるので、一つは買ってあげるとよいでしょう。
磁石のおもちゃについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
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プリズムで光の屈折を体験
おうちの中でいつでも虹が見れる三角プリズムは、子どもの好奇心を満たすのに最適なアイテムです。
傾けたり違う場所に置いてみたりして、自由に遊べるのもポイントです。
ただの透明な三角柱なのにどうしてこんなことができるのか、親子で考えてみてもよいですね。
天体の学習に ホームプラネタリウム
満点の星空を眺められる恵まれた環境が失われつつある現代、天体に興味を持てない子どもが増えるのは避けられない現象といえます。
本来なら季節によって移り替わる「生の星空」を観察したいところですが、難しい場合はホームプラネタリウムがおすすめです。
夜寝る前に部屋を真っ暗にして、親子一緒に星空観察を楽しみましょう。
たまに見える流れ星が、子どもの夢を膨らませてくれますよ。
理科が好きになる暮らし方
最後に子どもを理科好きに導く、普段の暮らし方を紹介します。
ただし親は環境を整えるだけで、後は子どもにお任せです。
無理強いせずに、大らかな気持ちで見守ってくださいね。
壊れた家電はとりあえず分解
壊れて修復も不可能な電気製品は、子どもに渡して分解させてあげましょう。
いつも使っている便利なモノの中身を自分の目で見ることで、自分の暮らしが高度な技術に支えられているという実感がわきます。
小学校の高学年くらいになれば、電子基板やモーターなどの部品を取り出して、他の物を作る体験も可能です。
ドライバーやニッパーの使い方も覚えられ、生きる力が身に付くでしょう。
・分解後は自治体のルールに従って正しく廃棄しましょう
科学館に行く
科学館には家では試せない大がかりな実験設備や、観察装置などが常備されています。
親が説明できない難しい現象についても、学芸員が分かりやすく解説してくれます。
設備を活用した実験教室に参加したり、模型に触れたりすることで、理科への興味関心が自然と高まるでしょう。
夏休みには子ども向けのイベントが開催されていることも多いので、積極的に活用することをおすすめします。
(安くて涼しくて1日遊べるのもポイントですよ)
面白そうなものを置いておく
科学館のお土産ショップや東急ハンズのような雑貨店に行くと、インテリアを兼ねた理科グッズが意外に見つかります。
子どもにねだられたときはもちろん、よさそうだなと感じたら買って、リビングにさりげなく置いておきましょう。
「ニュートンのゆりかご」は「運動量保存則」や「力学的エネルギー保存の法則」といった、目に見えない上にややこしい法則を観察できるアイテムです。
ボールを持ち上げて手を離すだけで、簡単に遊べるので子どもにも人気がある装置です。
難しい理屈は分からなくても、触れて遊んでいるうちに何となく理解できるようになっていきます。
カチカチと規則的な音をたてながらボールが動く様子を見ているだけで、親もいやされます。
図鑑や本をそろえる
子どもが興味関心を持ったこと、疑問に思ったことに対して、すぐに調べられる環境を作るのも大切です。
昆虫図鑑や草花の図鑑、理科の知識が身に付く絵本は、常に子どもの手の届く場所に用意しておきましょう。
紙の本に限らず、アプリやDVD、ゲームソフトなどでもOKです。
子どもの年齢に応じたものを選んで、楽しく学べるようにしてあげましょう。
おすすめ絵本3選
最後に理科の知識が深まるおすすめの絵本を紹介します。
『しずくのぼうけん』は、液体の気化や固化の知識とともに、水がどのように人間の生活にかかわっているのかを学べるお話です。
絵もストーリーもかわいくて、何度も繰り返し読める本です。
『じめんのうえとじめんのした』は植物の光合成や根の働きを知るのに役立ちます。
あまり見ることのない地中の様子が分かりやすく、子どもの興味を引きます。
『小さな小さなせかい』は、科学絵本で有名な「かこさとし」の作品です。
地球上には顕微鏡でも見えないほどの、小さな物質が存在することを分かりやすく解説します。
『大きな大きなせかい』とセットで購入するのもおすすめです。
理科って「実に面白い」
学校の教科として捉えるとき、算数や国語に比べて理科や社会の影は薄めです。
しかし理科には、大人になってから「知っててよかった~」と思える要素がたくさんあります。
難しい方程式は覚えていなくても、理科の知識が豊富な方が、人生を楽しめるかもしれません。
子どもが「実に面白い」と思わず口にできるような環境を、早いうちから整えてあげましょう。
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