梅シロップ 失敗しない作り方と保存方法。梅や酢、砂糖の選び方もチェック
手作りの梅シロップは、蒸し暑い季節にぴったりな爽やかドリンクとして人気です。しかしいざ買い物に行くと、梅や砂糖、酢などの種類がいろいろあって迷ってしまいます。
材料や容器を選ぶのが面倒だったり、作るのに時間がかかったりして、あきらめてしまうこともあるのではないでしょうか?
梅シロップの上手な作り方や使い方、保存のコツを紹介します。
失敗しない梅シロップの作り方
梅シロップの作り方はとても簡単です。基本的な作り方と、上手な保存方法を覚えておきましょう。
梅シロップの材料
梅シロップ作りに必要なものは以下の通りです。梅の季節になると、梅・氷砂糖・保存瓶などが売り出されるので、チェックしておきましょう。
- 梅:1kg
- 砂糖:1kg
- 酢:200cc程度(なくてもよい)
- 3~4リットルの密閉ビン
- 竹串:数本
- 消毒用のアルコール
梅を漬ける前にビンを消毒
始めにキッチン用のアルコールスプレーや焼酎などを使って、ビン全体をしっかりと消毒します。耐熱容器であれば、煮沸消毒してもOKです。
ただし3~4リットルの瓶を煮沸消毒するのは大変ですし、やけどのリスクもあります。食品にかけても安心な、パストリーゼのようなアルコール製剤を常備しておくとよいでしょう。
梅を洗ってヘタを取る
梅をザルにあけ、傷がつかないように流水で洗います。青梅を使う場合は、たっぷりの水に1~2時間漬けて「アク抜き」しましょう。
竹串で梅のヘタを取り除き、キッチンペーパーや清潔な布巾で水気をしっかりと拭き取ります。
なお梅仕事には竹のザルがお似合い。洗った梅を広げてしばらくおけば水分が飛び、拭き取りも楽になります。
梅を冷凍する
下処理が済んだ梅はジッパーバッグに入れてから、一晩冷凍庫に入れておきましょう。一度冷凍することで梅のエキスが出やすくなり、梅シロップが早く完成します。
急いでいないなら、冷凍しなくても構いません。
ビンに漬けこむ
梅と砂糖が層になるように、交互にビンに入れたら、お好みでお酢を注いでフタをします。
冷暗所に置き、毎日ビンをゆすって砂糖を溶かしましょう。
1~2週間後、砂糖が完全に溶けて梅がシワシワになったら完成です。
ここまでの手順はこちらの動画ピンでも見れますよ~
手作り梅シロップの保存方法
できあがった梅シロップは、一度殺菌処理をしてから冷蔵庫で保存します。保存までの手順を見ていきましょう。
シロップを加熱
ビンから梅の実を取り出し、ガーゼなどでこしながらシロップを鍋に移します。煮立たない程度の弱火で15分ほど加熱すれば、殺菌完了です。
酸が強いためアルミ鍋は使わず、ホーローやステンレスの鍋を使いましょう。
冷めたら保存用のビンに移して、冷蔵庫に入れます。この方法なら、3カ月~半年程度の保存が可能です。
保存容器は密閉タイプを
梅シロップの酸化を防ぎ、おいしさを保つためにも保存容器は密閉タイプがおすすめです。液だれしにくいタイプを選べば、周囲がベタベタになるのも防げますよ。
セラーメイト 保存びん 500ml
こちらはドレッシングなどの調味料を保存するためのものですが、密封性に優れ、注ぐときに液だれしにくいことから、梅シロップの保存にもおすすめです。
梅1㎏の場合1リットルほどのシロップができるので、このビンが2本あれば十分です。
手作り梅シロップの使い方
甘くてトロトロの梅シロップは、夏のドリンクやデザートに大活躍です。砂糖、みりん、お酢の代わりに、料理にも活用できますよ。
- 炭酸水で割った梅ソーダ
- そのまま凍らせて梅シャーベット
- かき氷のシロップに
- 紅茶に入れて「レモンティー風」
- 牛乳で割って「飲むヨーグルト風」
- 梅ゼリー
- 梅ドレッシング
夏は炭酸で割るのがオススメ
炭酸水で割るだけの「梅ソーダ」は簡単でおいしく、ごくごく飲めます。炭酸水メーカー「ソーダストリーム」があれば鬼に金棒ですよ!
梅の実はジャムに
梅の実は生食できませんが、シロップを作った後のシワシワのものはおいしく食べられます。そのまま食べたり、炭酸割りに添えたりしてもよいですね。
一番おすすめの使い方は、「梅ジャム」です。
梅を鍋に入れ水をひたひたになるまで入れたら、砂糖やハチミツを150~200gほど加えて煮込みます。 柔らかくなったら実をつぶして種を取り、更に煮詰めて完成です。
トーストやヨーグルトなど、朝食に大活躍ですよ。
梅シロップを早く完成させるポイント
梅シロップはできあがるまでに時間がかかるのがネックです。少しでも早く梅のエキスを抽出し、シロップを完成させるコツを紹介します。
梅の繊維を壊しておく
漬ける前に梅の繊維を壊しておくと、エキスが早く出てきます。手軽に繊維を破壊するなら、梅を冷凍するのがおすすめです。冷凍することで、腐敗の防止にもなります。
冷凍した梅はそのままビンに入れるので、事前にきれいに洗って、ヘタを取るのを忘れないでくださいね。
冷凍するのが面倒、冷凍庫がいっぱいで入らない、というときは梅の表面にフォークで穴を開けてから漬けるとよいですよ。
一晩で完成する 梅シロップの裏技
炊飯器の保温機能を使えば、たった一晩で梅シロップが完成します。ビンに漬けるときと同じ要領で梅と砂糖を交互に重ね、保温ボタンを押すだけです。
ただし1㎏の梅を使うなら、5.5号炊き以上の容量が必要です。炊飯器が小さい場合は小分けにして作ってください。
- 砂糖が一番上になるように入れる
- 冷凍梅を使う
- ときどきかきまぜる
12時間ほど経って、砂糖が完全に溶けていたらできあがりです。
梅シロップ作りのQ&A
続いて材料の選び方など、梅シロップを作るときに悩みがちなポイントを見ていきましょう。
完熟梅と青梅どっちがよい?
スーパーの店頭に黄色っぽい「完熟梅」と緑の「青梅」が並んでいると、どちらを買えばいいのか悩みます。基本的にはどちらを使っても大丈夫ですが、風味や注意点が下記のように若干異なります。
始めは作りやすいと思う方で試してみるとよいでしょう。
風味 | 注意点 | |
---|---|---|
完熟梅 | 濃厚で香りが良い | 発酵しやすい・カビが生えやすい |
青梅 | サッパリ | アク抜きが必要 |
完熟梅はカビが生えやすいので保管場所に注意し、梅を冷凍するなどしてエキスを早めに出すのがポイントです。
青梅は必ずアク抜きしてから使います。いずれにしても、大きな傷のあるものや明らかに傷んでいるものが混ざらないように注意してください。
シロップが濁ったり、すぐに傷んだりして飲めなくなる場合があります。
氷砂糖じゃないとだめ?
梅シロップには氷砂糖を使うのがおすすめですが、他の砂糖やハチミツでもおいしく作れます。
黒糖・きび砂糖・てんさい糖・和三盆など、砂糖の種類によって風味が変化するので、いろいろ試してみるのもおすすめです。
特に、ミネラルやビタミン、鉄分が豊富な黒糖は、梅に含まれるクエン酸の健康効果を一層高めてくれます。
酢は入れるべき?
梅シロップの作り方を検索すると、「酢」を使うものと使わないものが出てきます。酢を入れると入れないのでは、何が違うのでしょうか?
実は酢には殺菌作用があり、入れておくと梅シロップの発酵やカビの発生を抑えてくれます。また、酢にはクエン酸と同じような効果があるため、より健康的な梅シロップを作れます。
日持ちする上に、健康効果も高まるので酢を入れないよりは、入れることをおすすめします。
酢にもいろいろな種類がありますが、梅シロップに使うなら爽やかな風味の「りんご酢」がよいでしょう。もちろん、黒酢や米酢、穀物酢などを使っても大丈夫です。
ビンの容量は?
梅シロップを漬けこむビンの容量も、悩むポイントです。梅の実はスーパーなどでは1㎏単位で、袋に入って売られています。
同量の砂糖を加えることを考えると、2リットルビンでは小さすぎます。3~4リットルのタイプがちょうど良いでしょう。
大き過ぎて邪魔な場合は、1~2リットルのビンに小分けにして作ってもOKです。密閉できればよいので、ジップロックでも作れますよ。
容器毎に砂糖や酢の種類を変えて、味の違いを楽しんでもよいですね。
おしゃれなビンを用意しても
おしゃれで使いやすいビンがあれば、毎年の梅シロップ作りが楽しみになります。ビンを持っていない人は、お気に入りのビン探しから始めてみては。
梅シロップのうれしい健康作用
梅にはクエン酸をはじめ、美容や健康によい成分が豊富に含まれています。梅のエキスが凝縮されたシロップには夏バテ予防のほかに、下記のようなうれしい作用が。
- 美肌
- 疲労回復
- ふつか酔い対策
梅シロップを毎日飲めば、夏にありがちな不調に悩まされることなく元気に乗り切れるでしょう。
肌の調子を整える
梅に多く含まれる「クエン酸」には、血流を良くして新陳代謝を高める働きがあります。新陳代謝が良くなると、冷えや胃腸の不調が改善されます。
その結果、美肌の大敵「便秘」も解消され、お肌の調子が整いやすくなるでしょう。またクエン酸には、抗酸化物質の働きを助ける作用があります。
抗酸化物質は、老化の原因「活性酸素」をやっつけてくれる頼もしい味方です。ビタミンやミネラル、ポリフェノールなどが知られていますね。
抗酸化物質を含む食品とクエン酸のダブルパワーで、肌の調子を整えましょう。
疲労を回復しイライラを解消
梅干しやレモンを食べると元気が出てくるのは、クエン酸に疲労回復効果があるからです。クエン酸は体内に蓄積した疲れの元「乳酸」を分解して追い出すので、疲れが早く回復します。
カルシウムや鉄分などのミネラル成分を包み込んで、胃から吸収しやすくしてくれるのもポイントです。カルシウムをたくさんとることでイライラ気分が解消され、骨粗しょう症や貧血も予防できます。
梅シロップは更年期以降の女性はもちろん、育ち盛りの子どもにも大変おすすめです。
二日酔いにも
クエン酸には、肝臓の機能を高めてアルコールを分解する働きまであるんです。
血行が良くなるので、アルコールまみれの汚れた血もサラサラになります。
二日酔いで食欲のない朝は、1杯の梅ジュースで体をリセットするとよいですよ。
作り方簡単!梅シロップで元気な夏を
梅シロップは、梅と砂糖、酢さえあれば簡単に作れます。美容や健康によく、使い道もたくさん。
爽やかでほんのりと甘い風味は、子どもにも好評です。店に梅の実が並ぶ季節になったら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。