包丁を研ぐタイミングって?砥石 シャープナーの違いや選び方も解説
キッチンの必需品にもかかわらず、包丁のお手入れ方法は決して分かりやすいとはいえません。砥石とシャープナーの違いや使い方も悩ましいポイントです。
きちんとお手入れしたいけれど、どうしたらいいのか分からない人のために、包丁を研ぐタイミングやお手入れグッズの選び方、おすすめのアイテムを紹介します。
包丁は研がなきゃダメ?みんなはどうしてる?
忙しい毎日の中で、わざわざ包丁のお手入れに時間をかけていられない人も多いでしょう。しかし包丁は、定期的にお手入れすることで長持ちします。
切れ味がよくなれば、食材の味を損なわず料理の腕前もUPするというもの!まずは包丁研ぎの必要性と、家庭でのメンテナンス事情を見ていきましょう。
包丁が切れなくなる理由
買ったばかりの頃はよく切れていた包丁も、毎日使っていると刃先が摩耗して切れ味が落ちてきます。
中でも包丁へのダメージが大きいのが、まな板です。実は皮むきのような、まな板を使わない調理の場合、包丁の切れ味が落ちることはほとんどありません。
でもまな板を使わず調理なんてほぼ無理ですから、包丁が切れなくなるのも仕方がないことなのです。
柔らかい木のまな板なら、包丁へのダメージを抑えることも可能ですが、プラスティックまな板よりもお手入れが面倒なデメリットがあります。
研がなくてよい包丁はないの?
主婦を続けていると、研がなくてよい包丁はないのかしら?と、一度は思うでしょう。
残念ながら、研ぐ回数が少なくて済む包丁はあっても、全く切れ味が落ちない包丁はありません。
ただ、家庭用包丁は錆びや摩耗に強いステンレス製なので、プロが使う「鋼」の包丁よりは研ぐ頻度が少なくて済みます。
また家庭用は「ある程度切れればOK」ですから、そこまでキレキレに仕上げる必要もないでしょう。
家庭で包丁を研ぐ人の割合
他の家庭では、切れ味が落ちた包丁をどのようにお手入れしているのでしょうか?
2016年に「ベルメゾン生活スタイル研究所」が実施した、包丁に関する調査結果を見てみましょう。
- シャープナーを使って自分で研ぐ:59.2%
- 家族に研いでもらう:19.3%
- 砥石を使って自分で研ぐ:16.1%
実に94.6%の人が何らかの方法で包丁を研いでいますが、中には自分では研がない人や、全く研いだことがない人もいるようです。
また砥石派以外の人の半数弱が、今後砥石を使えるようになりたいと答えています。
「本当は砥石で研ぎたいけれど、面倒だからシャープナーを使っている」といったところでしょうか。
「包丁」についての調査 | リサーチ・リサーチ|調査データ探すならリサリサ
研ぐタイミングをチェックする方法
包丁はこまめに手入れを続けることで長持ちしますし、1回の研ぎ時間も短くて済みます。ただしあまり研ぎ過ぎると、包丁の寿命が短くなってしまいます。
包丁研ぎのタイミングは刃の材質や料理の回数によって変わるので、一概に〇カ月に1度とは言えません。
調理中に以下のような状態が見られたら、研ぐタイミングと考えてよいでしょう。
- トマトの皮にすっと刃が入らない、つぶれる
- タマネギがいつもより目にしみる
- 鶏肉の皮の上で包丁が滑る
砥石とシャープナーの違いは?どっちを使うべき?
包丁を研ぐ道具にも砥石から棒状のシャープナーまでいろいろあり、何を使えばよいのか迷いがちです。家庭用包丁には、砥石とシャープナーのどちらが適しているのでしょうか。
砥石とシャープナーは全く違う
前提として、砥石とシャープナーは、切れ味を復活させる仕組みが全く違うことを覚えておきましょう。
砥石は摩耗した刃を新品の状態に近付けるもの、シャープナーは刃に細かい傷を付けて滑りにくくするものです。
このためシャープナーだけを使っていると、だんだん刃先が弱って、欠けたり割れたりする可能性があります。
またシャープナーの場合は研いでもすぐに切れなくなってしまうので、何度もお手入れしなくてはなりません。
砥石を使えば、切れ味が長続きするのでお手入れの頻度が少なくて済みます。扱いが難しいイメージがありますが、研ぎ方の動画を見て練習すれば、初心者でもすぐに慣れるでしょう。
両方使うのが理想
砥石がよいと分かっていてもシャープナーを使う人が多い理由は、「やっぱり砥石は面倒だから」ではないでしょうか。
砥石は使う前に水に浸ける必要があり、後片付けも大変なので、忙しい主婦には向いていないのも事実です。
夕食の片付けが終わった後、プロの料理人よろしく包丁を研ぐなんて無理!という人がほとんどでしょう。
しかしシャープナーに頼ってばかりいては、包丁を傷めてしまいます。
お手入れの時間を短く、かつ包丁の切れ味もキープしたい人は、普段はシャープナーを使い、たまに砥石でしっかり研ぐのが理想です。
包丁の素材や価格で決めても
シャープナーと砥石の両方揃えるのはちょっと大変という人は、包丁の素材や価格で決めるのもアリです。
シャープナーも砥石も、1回買って終わりではありません。何度か使用していると研げなくなるので、買い替えたり、「砥石を研ぐ石」で表面を削ったりする必要があります。
値段も決して安くはないので、両方揃えると金銭的な負担も大きいでしょう。
3,000円程度で買えるような安い包丁に、そこまで手をかけるのは本末転倒かもしれません。
手頃な価格の包丁を、何度かシャープナーでお手入れして、ダメになったら買い替える方が合理的です。
高級な包丁を長持ちさせたい人は、砥石とシャープナーの併用をおすすめします。
切れ味が長持ち!砥石の選び方
砥石に興味が湧いた人は、早速チャレンジしてみましょう。家庭で使いやすい砥石を選ぶコツを紹介します。なお研ぎ方は動画で見るとよく分かります。公式サイトに動画をのせているメーカーもありますし、YouTubeの「包丁 研ぎ方」で検索してもOKです。1度は見ておくとよいですよ。
「番手」をチェック
砥石は「番手」が小さい順に「荒砥石」「中砥石」「仕上げ砥石」のように分類されています。
番手とは砥石に記載されている、#の後に3桁や4桁の数字が付いた記号のことで、数が大きいほど細かく研げるという意味です。
- 荒砥石:#200前後
- 中砥石:#1000前後
- 仕上げ砥石:#2000以上
荒砥石は刃が欠けたときの修理用で、いざというときに頼りになります。仕上げ砥石はなくても大丈夫ですが、ピカピカに仕上がるので気分がよくなります。
家庭用には中砥石のみか、中砥石と仕上げ砥石のセットがおすすめです。裏と表で番手が異なり、使い分けできる砥石もあります。
片付けやすくキッチンが汚れにくいものを選ぶ
砥石は単体で買うよりも、台や箱がセットになっている方が便利です。砥石は基本的に水に浸けて使うため、下にタオルなどの滑り止めを置く必要があります。
また研いでいる最中に泥のような水が出るので、調理台の掃除も大変です。
滑り止め付の台や、泥をキャッチする箱が付いていれば、狭いキッチンでも快適に研ぎ作業ができるのです。
箱がそのまま収納ケースになるタイプなら、片付けのストレスも減らせますよ。
初心者におすすめの砥石
初めて包丁研ぎに挑戦する人におすすめの砥石をセレクトしてみました。上手に研げる便利アイテムも合わせて紹介します。
貝印 コンビ 砥石セット
砥石の準備や片付けの手間を省いてくれる、初心者に優しい砥石です。中砥石と、やや細かい荒砥石の両面仕上げになっています。
受け皿の裏面に付いているゴムが強力で、滑りやすい家庭のキッチンでも安定して研げます。
砥石から出る水は受け皿の溝に溜まり、調理台を汚しません。研いだ後は、受け皿に置いたまま、水切りから乾燥まで可能です。
シャプトン 刃の黒幕
中研ぎと仕上げ研ぎを兼ねた#2000の中砥石です。ケースのフタが台になっています。使う前に水に浸けなくてもよいタイプで、思い立ったらすぐに研げるのが魅力。
シャプトンシリーズはさまざまな番手が揃っていて、家庭用には#1000のオレンジや#1500のブルーも人気がありますよ。
チョコレー砥
板チョコの形のケースがかわいい中砥石です。ケースはシリコン製で、滑りにくい台として使えます。
包丁の角度を安定させるクリップと凹んだ砥石を平らに修正する「面直し」砥石まで付いていて、初心者でも安心して包丁研ぎにチャレンジできます。
角度が分かる便利アイテム 貝印 樹脂製 研ぎ上手
包丁研ぎの最大の難関ともいえる、「角度」を安定させるための補助具です。包丁の背に付けるだけで、角度がぶれず、誰でも上手に研げます。
金属製の補助具に比べて、包丁や砥石を傷付けにくいのもポイントです。
シャープナーの種類と選び方
時間をかけずに切れ味が戻せるシャープナーは、1台は持っておきたいアイテムです。ただ、ひと口にシャープナーといっても、種類によって特徴が違います。シャープナーの種類や選び方を見ていきましょう。
シャープナーの種類
シャープナーには「ロール式」「交差式」「電動式」「スティック」の4種類があります。
ロール式は砥石に近い仕上がりが期待でき、交差式は価格が手ごろです。電動式は楽に研げますが、動作音が大きいので、夜に使いたい人は注意しましょう。
スティックタイプは包丁だけでなく、キッチンバサミやピーラーにも使えます。コンパクトで収納が楽ですが、使い方が難しいのがネックです。
シャープナーの選び方
主に調理前や調理中にサッと使いたい人は、デザインや使い勝手、価格に注目して選ぶとよいでしょう。キッチンに置きっぱなしでもサマになるおしゃれなタイプなら、気分も上がります。
砥石を使わない人は、荒研ぎから仕上げ研ぎまで3段階に分かれているものや、電動タイプがおすすめです。
どの場合でも、底の滑り止めや持ちやすさは必ずチェックしてくださいね。
おすすめシャープナー
たくさんのシャープナーの中から、おしゃれで使いやすそうなアイテムを紹介します。
3段階で研げる ニトリ 3段式トリプルシャープナー
#400の荒砥ぎ用、#1000の中砥ぎ用、セラミックの仕上げ砥ぎ用の3段階でお手入れできるロールシャープナー。
包丁を置いて軽く手前に数回引くだけで、切れ味が復活します。底には滑り止めのゴムがあり、ハンドルも持ちやすくて安定感があります。
2段式もあるのでお好みで選んでくださいね。
電動タイプ 京セラ ファインプレミア 電動ダイヤモンドシャープナー
電池で動くかわいらしいシャープナーです。砥石で研ぐときのような、縦方向の動きを再現しています。
ダイヤモンド砥石を使っており、京セラ製のセラミック包丁にも対応しています。
スタイリッシュな卓上シャープナー
え?これがシャープナー?と驚いてしまう、おしゃれな形のアイテムです。
刃先を入れる角度によって、荒砥ぎから仕上げまで完了します。薄くて場所を取らないため、狭いキッチンにもおすすめ。
パン好きにおすすめ 貝印 波刃が研げるシャープナー
波刃のパン切り包丁に対応した万能シャープナーです。パンをサクッと切れなくなって、ストレスを感じている人はこちらを使ってみましょう。
小さなボール状の砥石が、刃の形状に合わせて上下に動き、切れ味を復活させます。もちろん、普通の包丁も研げますよ。
スティックタイプのおすすめ 貝印 ダイヤモンドシャープナー
ハサミや草刈り鎌も研ぎたい人は、スティックタイプがあると便利です。
食洗機対応のこちらのシャープナーなら衛生的で、肉を切っている途中の包丁にも安心して使えます。
持ち手の穴にヒモを通せば吊るして収納でき、場所も取りません。
研いでも切れなくなった包丁は正しく処分
包丁にも寿命があり、頑張ってお手入れしてもいつかは使えなくなります。研いでも切れ味が戻らない包丁、柄の部分がぐらつく包丁などは、思い切って捨てましょう。
砥石やシャープナーの購入を機に、自宅の包丁を見直し、適正な本数を維持するのもおすすめです。包丁の断捨離に挑戦したい人はコチラ↓包丁の捨て方も分かります。
包丁研ぎはタイミングが重要!自分に合うやり方を見つけて
包丁はタイミングよく研ぐことで、切れ味がよみがえり寿命も伸ばせます。
トマトがつぶれる、タマネギがしみるといった現象が起きたら、それはトマトやタマネギのせいではなく、包丁を研いでいないせいです。
砥石でもシャープナーでも、自分に合ったやり方を見つけて、包丁を快適に使いましょう。