ベランダ菜園 簡単?初心者がやりがちな失敗と挫折しない方法を解説
ベランダでの野菜作りは一見簡単そうで、お金もかからないように思えますが、やってみると意外に大変で挫折してしまうことも少なくありません。初心者でも上手に野菜を育てるには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。失敗の原因と対策を解説します。
ベランダ菜園で失敗する主な原因とは
ベランダは、畑や庭とは条件が大きく異なります。畑で野菜を育てた経験がある人も、プランターでは失敗するかもしれません。ベランダ菜園でやりがちな失敗の原因を見ていきましょう。
日照不足や日の当たり過ぎ
野菜は日当たりが良過ぎても悪過ぎても、うまく育ちません。ベランダにはひさしや壁があるため、外は明るく晴れているのに、日中はほぼ日陰になっているケースもあります。
逆に1日中直射日光が当たり、照り返しで気温が急上昇するのも植物にとってはよくない環境です。
季節によって日照時間や気温も変わってくるため、こまめにプランターの位置を動かしたり、日よけアイテムを使ったりなどの工夫が必要なのです。
こうした対策をせずに始めると、いきなり枯れたり、根腐れを起こしたりすることにつながります。
水や肥料の量が不適切
適切な水や肥料の量は、野菜によって違います。特に肥料の分量や与えるタイミングは初心者には分かりにくく、失敗することも多いでしょう。
最初は必要な肥料が配合された培養土を使って、追肥しなくても収穫できる野菜から始めるとよいかもしれません。
水やりについては、「土が乾いてからたっぷり」が基本です。土の状態をチェックせず、毎日機械的に水やりすると根腐れや害虫被害の元になります。
また暑い日中に水やりすると、土の温度が上がってしまうため、なるべく朝や夕方の涼しい時間帯に行います。
虫対策が不十分
マンションの高層階に住んでいると、「虫なんて来ないよね」と考えがちですが、ベランダ菜園を始めると驚くほど虫がやってきます。
特にコバエはすぐに増えて目障りな上に、部屋の中にも入ってきやすいので注意が必要です。虫が苦手な人は、一度コバエが湧いただけで野菜栽培がイヤになってしまうこともあります。
十分な虫対策と、虫が来ても驚かない心の準備をしましょう。
古い土を使ってしまう
ベランダ菜園ではプランターの土を捨てたり、新しい土に入れ替えたりするのがとても面倒です。ついつい古い土を入れたままで、次の野菜を植えてしまう人もいます。
しかし古い土は栄養分が少なく水はけも悪くなっているため、そのまま使い続けると野菜が育ちにくくなります。病気や虫にやられる可能性も高まるので、古い土の使いまわしはおすすめできません。
面倒でも一度収穫した土は新しいものに入れ替えましょう。
ベランダ菜園で挫折しないポイント
張り切って野菜を植えてみたものの、途中で枯れたり虫が湧いたりすると気持ちが萎えてしまいます。初心者でも挫折せず、ベランダ菜園を続けるポイントを見ていきましょう。
ベランダの環境に合った野菜を植える
野菜にはさまざまな種類があります。ベランダ菜園では土の量が限られるため、少量の土でも十分育つ葉物やミニ野菜を選ぶとよいでしょう。
収穫までの期間が短い品種なら、成果がすぐに感じられモチベーションを保てます。追肥が不要なので、初心者が失敗しにくいのもメリットです。
逆に大根やジャガイモのように、地中で大きくなる野菜はベランダ菜園には不向きです。またトマトやキュウリなどの支柱が必要な野菜も、準備が大変なので慣れてから挑戦するとよいでしょう。
できる限りの虫対策を行う
ベランダも屋外である以上、虫の訪問をゼロにすることは不可能です。しかしやってきた虫を増やさないようにすれば、野菜は守れます。
虫にとって居心地の悪い環境を作り、撃退しましょう。
ベランダ菜園の虫対策には以下の方法が有効とされています。一つだけでは効果が限定されるので、同時進行がおすすめです。
- 虫除け効果のあるハーブを一緒に植えておく
- 有機肥料をできるだけ使わない
- プランターの底や水受け皿を定期的に掃除する
- プランターを動かして卵や幼虫が隠れていないかチェックする
- 虫よけネットをかける
- 土が乾いてからたっぷり水やりする
- コバエを見かけたら駆除スプレーをかける
虫はじめじめした場所に隠れていることが多いため、プランターの置き場所を変えたり、水受け皿を洗ったりするのはとても効果があります。
なおコバエ駆除スプレーは土に噴射するので、野菜への悪影響はありません。
古い土の捨て方や再利用方法まで考えてから始める
ベランダ菜園の最大のネックが、古い土の処分です。土の捨て方は自治体によって異なるため、ベランダ菜園を始める前にしっかり確認しておきましょう。
最近は燃えるゴミとして捨てられるベランダ園芸用の土や、古い土を再利用できる「再生材」も多く開発されています。条件を満たせば古い土を引き取ってくれるホームセンターもあります。
「土を制する者はベランダ菜園を制する」です。あなたにとって、どの方法なら長続きするのかをじっくりと考えて決めてくださいね。
「節約」や「元を取りたい」気持ちは一旦捨てる
ベランダ菜園を始める動機の一つに「食費の節約になれば」という気持ちは少なからずあるでしょう。「プランターや土にかかった費用の元くらいは取りたい」との気持ちも分かります。
しかしお金をかけたくない、損したくないと思えば思うほど、なぜか野菜は育ってくれません。安い土を使ったり、肥料をケチったりすれば、おいしく育つはずはありませんね。
お金をかければいいというわけでもありませんが、せめて損得勘定は一旦横におき、野菜の成長を楽しむ気持ちで取り組みましょう。
逆にプランターや育苗ポットなどのアイテムは、買わずに済ませることも可能です。代用アイデアはこちらの記事で紹介しています。
初心者でも失敗しにくい簡単な野菜
ベランダ菜園は一度成功すれば、どんどん楽しくなります。初心者はまず、失敗の少ない野菜を植えて成功体験を積むことをおすすめします。おいしくて成長の早い初心者向け野菜を見ていきましょう。
リーフレタス
リーフレタスは狭いプランターで育てやすい野菜の代表選手です。種まきから収穫までの期間が短く、放っておいてもわさわさと成長します。
さまざまなリーフレタスの種が入った「ミックスレタス」を撒けば、寄せ植えのようなおしゃれな見た目も楽しめます。
小松菜
小松菜は成長が早く、高温にも低温にも耐えられる野菜です。寒冷地以外の地域では、日当たりのよいベランダなら冬でも栽培できます。
みそ汁や炒め物など使い道も多いので、お世話のモチベーションが上がりやすいでしょう。ベランダ菜園に適した「ミニ小松菜」や「早生小松菜」もあります。
ラディッシュ
鮮やかな赤と丸い形が特徴のラディッシュは、うまく収穫できたときのワクワク感がたまりません。
ハツカダイコンの別名の通り、収穫までの期間が短いので、追肥の必要がなく初心者でも簡単に育てられます。
葉物野菜と違って大きくなった実を掘り起こす楽しみがあり、ベランダ菜園で根菜を育ててみたい人にもおすすめです。
ミニトマト
実がなる野菜を育てたい人は、ミニトマトに挑戦しましょう。春に苗を植え付ければ夏には収穫でき、サラダやお弁当に大活躍です。
ただしトマトは寒さに弱いため秋冬には栽培できません。また連作障害が起こるので、土も毎年変える必要があります。
唐辛子
唐辛子は根が浅く、小さなプランターでも栽培できます。支柱をたてて水やりするだけで育つ上に虫も付きにくいので、初心者にうってつけです。
収穫した実を調味料やオイルに加工しておけば、慌てて消費する必要もありません。真っ赤な実は見た目もきれいなので、リースにして飾るのもおすすめです。
ベランダ菜園の失敗を減らすおすすめアイテム
ベランダ菜園の失敗は、便利なアイテムを駆使すれば防げるケースもあります。失敗を減らしてくれるおすすめアイテムを紹介します。
園芸シート
植え替えや土の入れ替えの際に、園芸シートを敷いておけば、ベランダが土まみれになる心配がありません。
折り畳めるので収納スペースを取らず、狭いベランダでも心置きなく作業に集中できます。
レジャーシートやゴミ袋でも代用できますが、使い勝手を考えて、1枚用意しておくことをおすすめします。
土ふるい
古い土を再利用するために欠かせないアイテムです。数度にわたりふるいにかけることで、水はけのよい「いい土」だけを残すことができます。
園芸シートとセットで揃えておくとよいでしょう。
おしゃれなプランター
野菜用のプランターは、花や観葉植物の鉢に比べると素っ気ないデザインが多く、ベランダがダサくなりがちです。
おしゃれなプランターを選んで見た目にもこだわると、野菜作りをもっと楽しめるでしょう。
木製や布製、壁掛けタイプなどさまざまな種類があるので、ベランダの雰囲気に合うものを探してみてくださいね。
おしゃれなジョウロやプランター台
プランターをおしゃれにするなら、ジョウロや台にもこだわってみましょう。ジョウロは100円ショップでも買えますが、間に合わせ感がただよってしまうのも事実。
小物でベランダをおしゃれに演出し、育った野菜と一緒に写真を撮れば、インスタ映えも狙えます。
コバエ駆除スプレー
ベランダにやってくる虫の種類はさまざまですが、コバエだけは必ず来ると思って差し支えありません。
しかもコバエは繁殖のスピードが速いので、気付いてからスプレーを買っていては間に合わないでしょう。
種まきを終えたら、早めに購入することをおすすめします。
古い土の再生材
混ぜるだけで、古い土を再生できるアイテムです。プランターから土を取り出さずに済むので、狭いベランダでも汚さず快適に野菜作りを楽しめます。
土を寝かせる必要がなく、すぐに使えるのもメリット。忙しい人でもタイミングを逃さず種まきや苗の植え替えができます。
なお、使い捨てカイロの中身を土の再生に利用する方法もあります。冬に使ったカイロを保管しておき、春の種まき時に活用してみてもよいでしょう。
採れたらラッキー!ベランダでおいしい野菜を育ててみよう
ベランダ菜園で初心者が失敗する理由は、日当たりや水、肥料の加減が分かりにくい点にあります。思いもよらない虫の繁殖や、古い土の処理に嫌気がさすケースも少なくありません。
とはいえ、首尾よく野菜が収穫できた時は、そんな苦労を忘れるほどの喜びを感じます。失敗の原因と対策をしっかり頭に入れて、おいしい野菜を育ててくださいね。