柔軟剤はいらない?肌と環境に優しい柔軟剤でおしゃれを楽しもう
柔軟剤は本当に洗濯に必要なのか、一度は疑問に思う人も多いのではないでしょうか。肌や環境によくないとの説も見聞きしますが、衣類にとってはメリットが大きい一面もあります。柔軟剤の基礎知識と、これから使うならおすすめしたい商品を紹介します。
今さら聞けない柔軟剤の基本
そもそも柔軟剤は、何のためにあるのでしょうか?洗濯機に専用の注入口があるけれど、汚れ落ちにはあまり関係がないようにも思えます。柔軟剤の役割や正しい使い方など、基本をおさらいしましょう。
柔軟剤の効果
柔軟剤には主に以下の効果が期待できます。
- 肌触りを良くする
- 静電気の発生を抑える
- 乾燥時間の短縮
- 衣類のダメージ軽減
- 臭いや汚れをはじく
- 香りを楽しめる
柔軟剤は繊維の表面をコーティングし、肌触りをよくするためのものです。柔軟剤で仕上げると衣類の繊維が絡まりにくくなり、静電気防止やシワ・毛玉などのダメージ軽減に役立つでしょう。
静電気が発生しにくい=花粉が付きにくくなるのもうれしいメリットです。
コーティング効果で汚れや臭いを遠ざけるほか、乾燥時間の短縮につながることも分かっています。近年は衣類に香り付けできる製品も多く、さりげないおしゃれを楽しめます。
柔軟剤の正しい使い方
柔軟剤はとにかく入れればよいというわけではありません。効果を発揮してもらうためには、正しい使用方法を守る必要があります。
- すすぎのときに入れる
- 記載の使用量を守る
- しっかり脱水
- 乾いたらすぐに取り込む
柔軟剤は仕上げに使うものですから、洗剤を使っている最中に入れても意味はありません。それどころかお互いの効果を打ち消し合ってしまうため、必ずすすぎのタイミングで入れましょう。全自動やドラム式洗濯機の場合は柔軟剤投入口に入れておけばすすぎのタイミングで自動投入できます。
また柔軟剤を入れ過ぎるとかえって衣類が傷む可能性があるほか、残留成分が刺激となって肌荒れを引き起こすこともあり注意が必要です。パッケージに記載の使用量を守るようにしましょう。
柔軟剤が不要な素材もある
CMなどでは、よく柔軟剤を使ったあとの「ふっくらタオル」を見かけます。確かに柔軟剤を使うとタオルはふっくらして、肌触りもよくなるでしょう。
ただし柔軟剤は繊維をコーティングするため、肝心の吸水性は低下してしまいます。フカフカな割に体を拭いてもあまりサッパリしないときは、一度柔軟剤を使わずに洗ってみるとよいでしょう。
コットンの肌着なども、柔軟剤を使うと汗を吸いにくくなり快適さが損なわれます。タオルや肌着を洗う時は、できるだけ使わないことをおすすめします。
ちなみにタオルは10回ほどバサバサ振って、繊維を立たせてから干すと柔軟剤を使わずともふっくらします。
赤ちゃんの服や肌着に注意しよう
柔軟剤の成分は繊維の表面に留まってこそ効果を発揮するものです。このため成分によっては、肌が弱い赤ちゃんに悪影響を及ぼすこともあります。
ただ、柔軟剤を使わないと繊維がゴワゴワと硬くなり、肌を傷つけるおそれがあるのも事実。気になる人は、赤ちゃんにも安心して使えるタイプの柔軟剤を選ぶとよいでしょう。
柔軟剤の香りの秘密
最近は香りが持続する柔軟剤が流行しています。一方では強い香りに嫌悪感を持つ人もいて、社会問題にもなっています。柔軟剤の香りが人に及ぼす影響について見ていきましょう。
柔軟剤の香りが1日続く理由
昔の柔軟剤も確かに洗剤らしいちょっといい匂いがしましたが、現在のように強い香りが持続することはありませんでした。
最近の香り付き柔軟剤が1日香るとうたっている理由は、マイクロカプセルによって香り成分を閉じ込める技術が開発されたからです。
人が動くと衣類に付着した無数のマイクロカプセルが摩擦で壊れ、香りを放つ仕組みです。この技術は柔軟剤だけでなく、洗剤や制汗剤、除菌消臭スプレーなどにも使われています。
気分が悪くなるのは香りのせいだけじゃない?
強い香りを持続させる柔軟剤は「香害」の最大の原因と考えられています。香害は主に人工的な香り付き製品がもたらす不快感や健康被害のことで、一昔前にはあまり見られませんでした。
香害は当初、単に個人的な体質や香りの好き嫌いによるとされていましたが、実はそれだけが原因ではないようです。香りを閉じ込めているマイクロカプセルは、ウレタン樹脂やメラミン樹脂、つまりプラスチックでできています。香り成分自体も、化学物質から合成されたものです。
そしてカプセルがはじけると、とても細かな化学物質が空気中に舞い、呼吸とともに体内に侵入します。知らないうちに吸い込んだ化学物質により、頭痛や吐き気などの症状が引き起こされる可能性もあるのです。
部屋干しには無香や精油入りがおすすめ
香りが強い柔軟剤は、部屋干しに向いていないことも覚えておきましょう。乾くのに時間がかかって部屋干し臭が発生した場合、ニオイが混ざって大変なことになります。
前述の通り、化学物質まみれの洗濯物を室内に干すと、部屋の空気が汚染され体調不良を起こすおそれもあります。
小さな子どもやペットがいる家庭は、特に注意するべきでしょう。部屋干しがメインの人には、無香料タイプや香料に天然精油を使っている柔軟剤がおすすめです。
精油には抗菌・防臭効果もあるため、部屋干し臭の発生そのものを抑える役割も期待できます。
柔軟剤と自然環境
家庭での洗濯は、海洋汚染の原因の一つとされています。洗剤はもちろん、柔軟剤も無関係ではありません。柔軟剤が環境に及ぼす影響を解説します。
マイクロカプセルが問題視されている
現在、地球上には大量のマイクロプラスチックごみが蓄積して、生物に大きなダメージを与えていることはよく知られています。
プラスチックはどんなに細かくなっても自然界で分解されません。人類がプラスチックを使い続ける限り、マイクロプラスチックごみは増える一方です。
とはいえ、今さらプラスチックをまったく使わない生活に戻るわけにもいきません。このため、主にプラスチックの使用量を減らすと同時に、焼却やリサイクルによって自然界に流出する量を減らす対策が取られています。
香り付き柔軟剤に使われるマイクロカプセルも、マイクロプラスチックごみの1種です。洗濯の排水とともに海に流出するだけでなく、人の移動によって空気中にも飛散するため、より厄介な存在として問題視されています。
シリコーンや合成界面活性剤も
シリコーンは家庭用品から工業用品まで、さまざまな分野で活用されているケイ素の化合物です。モノをコーティングして汚れをくっつきにくくする性質があり、シャンプーや柔軟剤にも使われています。
シリコーン自体は毒性がなく安全な物質ですが、生分解性がないため垂れ流すとプラスチック同様海を汚染する可能性があります。環境保全の観点から、ノンシリコーンの柔軟剤も出ているほどです。
また柔軟剤にも界面活性剤が使われており、合成のものは洗濯洗剤などと同じく環境に負荷をかけると考えてよいでしょう。
安心安全な柔軟剤はある?選び方は?
香害や環境汚染は嫌だけれど、柔軟剤は使いたいと思ったら、どうすればよいのでしょうか。安心安全な柔軟剤を選ぶ方法をチェックしましょう。
マイクロカプセルやシリコーン不使用を選ぶ
マイクロカプセルやシリコーンを使っていない製品なら、香害や環境汚染をある程度防げます。香りが持続するタイプを避けたり「ノンシリコン」の表記がある製品を探したりするとよいでしょう。
ただし成分表示を見てもよく分からないことが多いため、メーカーや商品の公式サイトで確認すると安心です。
生分解性の高い成分を使用した製品を選ぶ
香料や界面活性剤については、植物由来成分を使っている製品がおすすめです。合成タイプと違って植物由来なら自然に分解されるため、環境への負荷を抑えられます。
植物由来成分は石油系の成分に比べて刺激が少なく、肌に優しいのもメリットです。洗剤も同じく植物由来のものを使えば、より環境に優しいお洗濯が実現します。
パッケージにも注目
柔軟剤を買う時は、容器の素材にも注目しましょう。中身がどんなに環境に優しくても、パッケージがただのプラスチックゴミになっては残念です。
近年は再生原料を用いたプラスチック容器や、プラスチックに劣らない耐久性を持つ紙の容器などが開発されています。また大容量の詰替えタイプがあれば、さらにゴミ減量につながります。
肌と環境に優しいおすすめ柔軟剤
肌や環境に優しい柔軟剤を買おう!と決意しても、スーパーやドラッグストアに置いてあるとは限りません。あったとしても、ほとんどの場合種類が限られているでしょう。ネットで選べるおすすめの柔軟剤を紹介します。
ルヴィ
植物性界面活性剤を使用、シリコーンや着色料は不使用の柔軟剤です。抗菌・防臭効果が約24時間持続するため部屋干しにも向いています。
調香師が厳選した、愛らしく上品な香りも魅力的。ウッド系をベースに、花やフルーツの香りをブレンドしています。
簡易的なパッケージに入っているので、好みのボトルに詰め替えて使いましょう。
レールデュサボン
好き嫌いの少ない「石けんの香り」が特徴の柔軟剤です。シリコンフリー・マイクロプラスチックフリー・生分解性香料75%使用と環境に優しい成分でできています。
ボトルには再生PETを使用しており、お得な詰替え用もあります。さわやかなデザインのパッケージで、洗面所がぐっと明るくなりそうです。
公式サイトでは同シリーズのファブリックスプレーや香水も買えます。会員なら5%OFFになる特典もあるので、気になる人は覗いてみましょう。
HARMONIE VERTE(アルモニベルツ)
HARMONIE VERTEは、フランスのオーガニック洗剤ブランドです。合成着色料・合成香料・石油由来成分不使用で、赤ちゃんや敏感肌の人の衣類にも安心して使えます。
香りは「バーベナ」と「ミント&シダー」の2種類から選べます。100%天然の香料を使っており、香害とは無縁のナチュラルな香りを楽しめるでしょう。
サラヤ ハッピーエレファント
ハッピーエレファントは日本の洗剤メーカー、サラヤが提供するブランドです。酵母発酵からうまれた天然洗浄成分「ソホロ」を使用しています。
柔軟剤はには大豆由来の「レシチン」、カニ由来の「キトサン」を配合し、食品成分のみでつくっています。
香料には天然精油を使用しており、洗濯時にふわっとよい香りが漂います。香りが残らないタイプですので、部屋干しが多い人や柔軟剤特有の香りが苦手な人にも好評です。
PiPPER STANDARD(ピッパースタンダード)
パイナップル酵素と大豆から生まれた、自然派の柔軟剤です。既知のアレルゲン成分を一切含まず、石油由来成分も使用していません。香料は精油由来で、乾いた後にほんのりと香ります。
成分の90%以上が1カ月以内に生分解可能で、容器はリサイクル可能な「高密度ポリエチレン」製です。大容量ボトルやパウチタイプの詰替え用もあり、環境にも大変優しいといえるでしょう。
ファーファ フリー& エコパック
とことん香りが苦手な人におすすめの、完全無香タイプの柔軟剤です。無香料タイプでもやっぱり気になる「原料のニオイ」まで研究し、無臭に近づけています。
植物由来の抗菌防臭成分配合で部屋干し臭の発生を防ぎ、ニオイのストレスから解放されます。着色料・抗菌剤・シリコンも不使用、エコな紙パックに入っているのもポイントです。
柔軟剤不要な洗剤もチェック
柔軟剤なしでもふっくらなめらかに仕上がる洗剤があれば、余計な出費を抑えられ環境にも優しい暮らしを実現できます。水もお金も節約できるおすすめ洗剤を見ていきましょう。
バンブークリア
国産の竹からうまれた100%天然成分の洗剤です。竹炭ミネラルの作用で、柔軟剤を入れなくてもふっくらと仕上がります。
界面活性剤を使っていないためすすぎも1回でOK。合成成分を余分に流さずに済むうえに、水道代や電気代の節約にも貢献してくれます。
なお竹は繁殖が速く加工が容易なことから、プラスチックに代わる素材として注目されています。竹を使ったさまざまな商品が開発されているので、試してみてはいかがでしょうか。
サフェ 洗濯用液体洗剤
海の油汚染処理技術を応用した、生分解性100%の洗剤です。泡立ちが少ないためすすぎは1回でOKで、シルクやウールなどのデリケートな素材もふんわりと洗えます。
油汚れを分解する性能が高く、使っているうちに排水管まできれいになるのもうれしいポイントです。
All things in Nature 洗濯用洗剤 すすぎゼロ型
こちらはすすぎが一回もいらない洗剤です。落とした汚れを再付着させない技術により、すすぎ0回でも問題なく、繊維一本一本が立ち上がって柔軟剤を入れずともふっくらした仕上がりに。
100%天然由来成分で、21日間で全成分の約70%が生分解します。2kgの洗濯物を5ml程度で洗えるため、1度買えば長持ちしてパッケージのゴミを減らせるのもメリットです。
水で薄めて食器洗いや家の掃除にも使用でき、余計な洗剤を買う必要もありません。
こだわりの柔軟剤で暮らしの満足度を高めよう
柔軟剤を使うと衣類がふっくらなめらかになり、よい香りも楽しめます。毎日の家事を快適に、そして満足度の高いものとするためにも、柔軟剤は欠かせないといってもよいでしょう。
一方では柔軟剤の残留成分が肌への刺激となったり、空気や水を汚したりするおそれもあります。柔軟剤に限らず、人間にはよくても他の生物には害となる製品は世の中にあふれています。
できることなら環境にも配慮した製品を選び、暮らしの満足度をより高めていきましょう。